理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 663
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神経系理学療法
脳卒中片麻痺者の立ち上がり動作分析
*石間伏 彩萩原 章由溝部 朋文阿部 成浩前野 豊山本 澄子
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抄録
【目的】片麻痺者では、機能回復に伴って左右方向に不安定な立ち上がり動作が、安定していくことが臨床的に観察される。その際の要因を明らかにする予備的研究として、安定化過程を客観的に捉えることを目的として動作分析を行った。
【方法】両上肢支助なしで立ち上がりが可能な片麻痺者4名(発症からの日数:79±61.94日,StageIII・IV各2名)を対象とした。全症例とも4週の間隔をおいて2回の測定を行い、1回目は失敗があり介助が必要、2回目は介助が不要であった。測定には3次元動作解析装置(VICON512)と床反力計(KISTLER社製)を用いた。下腿長に合わせた台からの上肢を使わないという条件のみで自由な立ち上がりを測定した。4週後,同じ条件下で再測定を行った。身体重心は身体のリンクモデルから算出し,合成床反力作用点(COP)は左右の床反力より合成した。水平面上から見た重心とCOPの経時的変化を分析。重心とCOPの左右の動きの時間に対するグラフを描いた。重心の左右変動を指標として、立ち上がり開始時と終了時の重心の左右位置を結んだ直線と重心波形で囲まれた面積(重心面積)を算出。さらに、重心とCOPのずれの指標として、2つの波形で囲まれた面積(重心COP面積)を求めた。
【結果】水平面上において、初回時の立ち上がりの特徴は重心・COPともに非麻痺側の殿部から足部に向かって蛇行しながら、より非麻痺側方向へと進んでいる。COPが重心より蛇行がさらに大きい。COPは重心より非麻痺側から麻痺側へ移るところも見られた。2回目においても重心が非麻痺側の殿部から足部に向かい進むが、1回目と比べ直線的になっている。COPは1回目と比べ重心に近づく。COPの軌跡も直線的となり、麻痺側へは移らなくなった。また2回目において、重心面積と重心COP面積は各々減少した。
【考察とまとめ】片麻痺者の立ち上がりにおいて、COPの左右方向への変動とは、荷重量の割合が一定しないことを示している。これは左右方向において重心が不安定なことを示し、立ち上がりが失敗する1つの誘因となると考える。4週後COPの左右方向への変動が減少し、左右の荷重量の割合が一定化し、動作が失敗しなくなったとも言える。立ち上がり動作中に重心が左右に変動すると、COPは重心を制御するため先回りするように更に大きく左右に変動し、重心COP面積が生じる。つまり,重心が左右方向に不安定になるほど、面積は増大する。今回、全症例において2回目には介助を要さなくなり、重心COP面積が減少していた。したがって、重心COP面積は、立ち上がりの安定性を客観的に示していると考える。しかし、今回の研究からは動揺を安定させた因子を詳細に述べることができないため、症例数を増やし今後検証していく。
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© 2005 日本理学療法士協会
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