理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 664
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神経系理学療法
早期脳血管障害患者における長下肢装具の使用目的の違い
―2症例の経験から―
*内山 直美宮嶋 武大谷 武司三澤 孝介植西 一弘北條 貴士室賀 一慶蒲原 幸子羽多野 美映
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抄録
【はじめに】長下肢装具(以下LLB)は、急性期脳血管障害患者の早期起坐・起立・歩行プログラムの一般化に伴い、発症直後の重度な意識障害や麻痺を有する患者に対しても早期起立の機会を与えた。その結果、廃用症候群を防止や初期覚醒レベルの上昇を促し動作獲得の迅速化を可能にした。しかし患者の状態によってLLBを用いて早期起立を施行しても動作獲得まで至らない症例も経験するが、早期立位は寝たきり防止の目的としても必要になる。今回、2症例の動作獲得の経過からLLBの使用法の違いを検討したので報告する。
【症例1】62歳、女性。診断名:左被殻出血(血腫除去術適用)。入院時 Glasgow Coma Scale(以下G.C.S)E4V4M6 Brunnstrom Stage(以下Stage)上肢I手指I下肢II。深部感覚、及び表在感覚鈍麻。発症後4日目からベッドサイドにて坐位・立位練習を中心にPT施行。起居動作・起立動作全介助。端座位困難。6日目 PT室にてPT開始。平行棒内でLLBを装着した立位練習を中心に施行。 LLB無しの立位は患側に倒れる傾向にあったが、LLB装着により立位が安定し症例の自発的な立位練習が可能になる。19日目に起立が自立し22日目にSLB装着し歩行可能。
【症例2】69歳、女性。診断名:右視床出血。既往歴:陳旧性右半身不全麻痺。G.C.S E2V1M4 Stage:上肢I手指I下肢I。発症後2日目からベッドサイドにてPT開始。意識レベルが低いため端座位から開始。頭部の挙上なし。11日目からPT室にて平行棒内両側LLB装着で立位練習開始。意識レベルの改善なし。立位後車椅子坐位時において頭部の安定性が良くなる。15日目活動量を上げるため歩行練習開始。歩行練習後、声がけ、オーダーに反応を示すようになる。その後両側LLB装着にて介助歩行および立位練習を繰り返すが大きな変化は見られない。しかし、確実に反応や安定性は良好になる。68日目:車椅子坐位が安定し輪投げ、風船バレーなどのActivityへの参加も可能になる。
【考察】(症例1)は、PT開始時から指示の入力が可能であり、初回時の麻痺が重度と評価されてもLLB装着で患側下肢の支持性を高めることが可能であった。このような症例は起立から歩行へと円滑にプログラムが進行する症例であり、早期の立位感覚の入力が重要な意味をもつと考える。(症例2)は、意識レベルが低く指示の入力が困難であり、さらに両側性に障害されているために、LLB立位は受動的になる症例ではある。しかし、立位などの全身運動は、意識レベルの改善や坐位姿勢の安定性にも良い影響を与える。このような症例は、立位練習を施行しない場合、寝たきり状態に陥る可能性が高く、高頻度の立位練習を継続する必要がある。以上から重度脳血管障害患者において状況により使用目的は異なるが、LLBは早期起立を実施いていくための効果的な補助具になると考えた。
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© 2005 日本理学療法士協会
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