理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 667
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神経系理学療法
片麻痺症例における座面傾斜時の姿勢反応分析
*森下 元賀網本 和高倉 保幸草野 修輔栗原 陽介
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抄録
【はじめに】片麻痺症例においては体幹機能の左右差や姿勢反応の低下によって座位での円滑な重心移動が困難なことが多い。そのため片麻痺症例の治療において姿勢反応の出現様式を分析し、どのような刺激・外乱が有効であるかを検討することは重要である。今回片麻痺症例において麻痺側と非麻痺側にそれぞれ同等の異なる外乱を加えた時の姿勢反応の違いを明らかにすることを目的に検討を行った。
【対象】対象は自力での端座位保持が可能な片麻痺症例7名(左片麻痺4例、右片麻痺3例、男性5例、女性2例、年齢65.0±7.5歳、発症からの期間38.7±16.5日)であった。Brunnstrom Stageは上肢II1例、IV1例、V5例、下肢III1例、IV1例、V3例、VI2例であった。すべての被験者に研究の趣旨を説明し、書面にて同意を得た。
【方法】ティルトテーブルに横向きに腰掛け、足底非接地で二つの課題を施行した。課題1:ティルトテーブルを一定速度で7度傾斜させた。課題2:バランスボード上で座面を他動的に7度傾斜させた状態から座面が水平になるように随意的にコントロールさせた。計測は非麻痺側へ傾斜する方向からABBAの方法で行った。被験者の胸骨柄には床面と垂直にジャイロセンサを設置し、サンプリング周波数60Hzで8秒間測定した後、角度変換し振幅の最大値を算出した。同時に後方にデジタルビデオカメラを設置し、被験者の頭部(外後頭隆起)・両肩峰・脊柱(C7・Th7・L4棘突起)・両上後腸骨棘の合計8つの反射マーカーを貼付し、動作分析ソフト(DKH社製Frame-DIAS2)を用いて二次元座標を算出した。角度変化は傾斜に対して立ち直る方向(傾斜と逆方向)を正の方向とした。
【結果】ジャイロセンサによる計測では課題1の非麻痺側傾斜、課題2の両傾斜で安静時から伸展の有意な角度変化を認めたが(P<0.05)、側屈、回旋は認めなかった。傾斜方向による比較では課題1の伸展が非麻痺側2.99±1.5度、麻痺側1.23±1.8度で麻痺側が有意に少なかった(p<0.05)。デジタルビデオカメラによる計測では課題1、2の両傾斜で、安静時からC7-Th7-L4の角度でのみ有意な増加(p<0.05)が見られた。傾斜方向による比較では課題1 のC7-Th7-L4の角度で非麻痺側3.24±1.1度、麻痺側1.84±1.4度で麻痺側が有意に少なかった(p<0.05)。
【考察】従来から片麻痺患者は体幹屈曲によって座位を安定させるとされてきた。今回の症例では健常者と同様に伸展が観察され、胸腰椎レベルでの立ち直りも見られていることから脊柱起立筋の機能が比較的良好であることが示唆された。また、胸部の側屈方向への変化が少ないことから上部体幹は安定していることが示唆された。今回の結果より側方外乱刺激は片麻痺症例の体幹機能の左右差を反映しやすいものと考えられた。
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© 2005 日本理学療法士協会
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