理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 862
会議情報

神経系理学療法
当院NICUにおける運動発達の予後予測の検討
―修正10ヶ月での坐位獲得結果から―
*並木 優子横山 美佐子岩松 秀樹須田 久美遠原 真一神谷 健太郎
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【はじめに】当院NICUでは、1500g未満もしくは在胎28週未満で出生児、および運動発達遅延を疑われる児に対し運動発達評価を施行している。また、平成15年度から小児科外来への参画により、NICU退院児への経過フォローが可能となった。そこで平成16年10月までの経過において退院前発達評価時と退院後の運動発達の獲得状況との関連について検討したので報告する。
【対象】当院NICU入院児で、1500g未満もしくは在胎28週未満での出生児、および医師・看護師により発達遅延が疑われる所見のある児78例に対し退院前運動発達評価を行った。そのうち、転院・地域病院への引き継ぎ32例を除き、当院小児科外来にてフォローされている児46例(うち理学療法施行19例)に対し退院後の運動発達の獲得状況を調査した。
【方法】当院NICU入院児に対し、基本的情報として、診断名・在胎週数・出生時体重・人工呼吸器挿管および酸素投与の有無における情報収集を行った。また運動発達に関しては、覚醒状態・姿勢・筋緊張・運動パターン・反射・呼吸状態を評価項目として施行した。退院後の運動発達は、定頚・寝返り・座位・つかまり立ち・独歩の獲得月齢を医師および理学療法士の診療録より収集した。なお運動発達の獲得月齢は、修正月齢で表した。統計的手法は、修正月齢10ヶ月における坐位獲得の可否(可=0、否=1)を目的変数とし、退院前発達評価時の項目を説明変数として、変数減少法によるロジスティック回帰分析を行った。危険率5%未満を統計学的有意水準とした。
【結果】退院前の運動発達評価による理学療法所見と修正月齢10ヶ月での坐位獲得状況に関連は見られなかった。当院にてフォローされている児46例のうち修正月齢10ヶ月において坐位獲得の児は36例であった。また、坐位未獲得児10例ついては7例が染色体異常や心疾患の合併があり、2例が中枢神経疾患・1例が極低出生体重児であった。
【考察】退院前運動発達評価と修正月齢10ヶ月での坐位獲得状況との関連を検討したが相関は認めなかった。しかし、修正月齢10ヶ月での坐位獲得児36例ではほぼ正常な運動発達獲得を確認できた。また、坐位未獲得児7例では染色体異常、心疾患を合併した児は運動発達遅延を生じることが示唆された。これは、染色体異常の症状および心疾患に対する手術による安静などが影響して運動発達遅延が生じていると考えられた。
【まとめ】当院NICU入院児における修正月齢10ヶ月での坐位獲得結果をもとに予後予測を行った。今後も、小児科外来での経過フォローを行い、予後予測に関連する因子の検討を行っていきたいと思う。
著者関連情報
© 2005 日本理学療法士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top