抄録
【目的】
歩行補助具を使用して日常的に歩行する脳性麻痺児・者(以下CP)は、粗大運動機能分類システム(以下GMFCS)のレベル3に分類され、整形外科や理学療法による多くの介入を必要とされる。今回は、当センターに入院経験のある、GMFCS3の年長の脳性麻痺児・者(以下CP)について、発達歴や療育歴を後方視的調査して介入の時期や長期経過を報告する。
【対象と方法】
対象は、当センターに入院経験のある、GMFCS3のCP27例(男11例、女16例)で、平均年齢は18.7±3.1才(13~31才)だった。調査の方法は、職員への聞き取りにより対象者を選出した後、カルテから診断名・出生歴・発達歴・手術歴・リハビリや療育の経過(歩行補助具や補装具の使用・実用的な移動手段)などを後方視的に調査した。
【結果】
診断名は全27例がCP痙直型両麻痺で、合併症はてんかんが6名、精神運動発達遅延が7例(重複を含む)であった。出生歴は在胎31.7±3.2ヶ月で、出生時体重は1743±404gであった。発達歴は、頸定が6.6±2.0ヶ月、座位が17.5±5.2ヶ月、つかまり立ちが27.6±10.0ヶ月であり、実用的ではないが独歩を獲得した症例は17例いた(8.1±2.0才:2.0~12.0才)。整形外科的な筋解離術が24例(内1例は大腿骨内反骨切術)で施行され、9例は2回の手術(内1例は大腿骨内反骨切術、1例は骨盤骨切術)を施行された。
歩行訓練には、1例を除く全例で金属支柱付き短下肢装具が使用されており、金属支柱付き長下肢装具も17例で使用されていた。歩行訓練開始時期は4.5±0.7才(3~7.5才)で、実用歩行開始時期(n=24)は7.9±1.6才(5.0~12.5才)であり、実用歩行に至るまで3.35±1.5年(0.5~8.5年)を要した。
長期経過では、日常での歩行補助具歩行が困難になった機能低下群は10例存在し(20.9±3.1才:17~32才)、機能維持群は17例(17.4±2.6才:13~25才)であった。また、機能低下は13~20才より生じ始めていた。経過の中で肩や腰や下肢に痛みを訴えていた6例全例、肥満傾向の4例のうち3例(うち1名は痛みと肥満が重複)に機能低下が生じていた。
【考察】
GMFCS3の症例に対しては、廃用性の機能低下、二次障害の痛みや肥満による機能低下を、予防したり予想した上で対処することが重要であるといえる。そのため、運動量や疼痛のチェック、日常移動方法の評価とその見直しも必要と考えられる。