理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 870
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神経系理学療法
脳卒中後遺症者の損傷半球皮質内脱抑制と上肢機能回復の関連性について
*畑中 良太高橋 幸治平木 里奈小野 剛成田 知弘辻 正彦畠中 めぐみ宮井 一郎
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抄録
【はじめに】近年,経頭蓋磁気刺激の二重刺激法(biStim)により脳卒中後遺症者(CVA)は,発症早期における損傷半球の皮質が脱抑制の状態にあることが分かってきた.しかしながら急性期を過ぎた回復期にあるCVAを対象とした研究は少ない.今回,我々はbiStimを用いて,回復期にあるCVAの損傷半球の皮質内抑制機構に着目し実験を行った.そしてCVAの上肢機能回復と皮質内抑制および促通機構の関連性も調べた.その結果、皮質内抑制機構の働きが上肢機能回復に影響していることが示唆されたので以下に報告する.
【対象】被験者は,CVA12名(平均57.9±10.7歳,男性10名,女性2名,発症日より92.4±50.0日)と対照コントロール群として健常成人12名(平均30.5±10.0歳,男性4名,女性8名)を対象とした.なお本研究は当院倫理委員会の承認を経て,各被験者からインフォームド・コンセントを得た上で実施された.
【方法】磁気刺激にはMAGSTIM200を2台と8の字コイルを用いた.被験者は仰臥位姿勢をとり,麻痺側上肢(健常人では利き手)を体側に伸展させ前腕回内外中間位に置いた.誘導電流が損傷半球(健常人は優位半球)運動野の手指領域を後方から前方の方向に流れるように頭皮上にコイルを固定した.被験筋は短母指外転筋(APB)とした.2台のbiStim装置は,それぞれの出力部からY字型ケーブルを介して接続され,二発の連続刺激が同一コイルより2,3,4,8,10,12msの間隔で行なえるように設定した.APB随意収縮下(10%Mmax)で100μV以上の運動誘発電位(MEP)が50%の確率で誘発される最小の値を運動閾値とし,先行刺激の強度を閾値の90%とした.二発目の刺激強度はAPBに安静時下で500μV以上のMEPが100%の確立で誘発される最小の値とした.APB に貼付した表面電極から導出されたMEPはSYNAX1200にて増幅後,メディカルトライシステム社製解析装置に取り込んだ.各条件で最低8個の波形を加算平均し,振幅(peak to peak)を求めた.そして,得られた値は,二発目の刺激を単発で刺激したときに得られるMEP振幅を100%とした時の比率として正規化(%MEP)し,コントロール群とCVA群を比較検討した.
またCVA群は入院時と検査時の麻痺側上肢機能レベルの変化によって機能向上(good)群と変化なし(poor)群に分け比較検討した.統計にはt検定を用いた.
【結果と考察】コントロール群とCVA群の麻痺側において,それぞれの%MEPを比較したところ,皮質内抑制(ICI)を意味するISI=2,3,4msの範囲でCVA群の方がコントロール群より有意に%MEPが大きかった(p<0.05).すなわち先行研究同様CVA群の損傷半球の脱抑制状態を確認できた.また,good群とpoor群との間に有意な差は見られなかったが,ICIの範囲においてpoor群の方がgood群より%MEPが大きい傾向が見られた.すなわち上肢機能回復の背景には,損傷半球の皮質内抑制機構の再組織化が影響していることが示唆された.
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© 2005 日本理学療法士協会
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