理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 871
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神経系理学療法
TBIによる高次脳機能障害者における運動パフォーマンス能力の検討
*米田 愛角谷 孝鬼塚 達則久保田 和子辻 聡浩種村 さつき小原 史嗣太田 喜久夫
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抄録
【目的】外傷性脳損傷(TBI)によって高次脳機能障害を認める患者のなかに、中枢性運動麻痺はごく軽微もしくは明らかではないが、就労などの社会参加をする上で運動能力の低下が問題となるケースは少なくない。社会参加に必要な運動能力は個々のケースによりその求められるレベルが異なるが労働作業場面では高い運動能力が必要とされ、その評価法の確立が求められている。今回はTBI患者の運動能力を社会参加を目的とした指標の確立に視点を置いて検討する。
【対象】高次脳機能障害モデル事業で評価したTBI患者のうち、中枢性運動麻痺がごく軽微で屋外歩行が独歩で自立しているもの17名。男性11名、女性6名、平均年齢49.7±14.1歳(21~68歳)。
【評価方法】(1)脳画像評価:MRI、脳血流シンチ(SPECT)(2)重心動揺計検査(開眼直立位・閉眼直立位:単位軌跡長、重心動揺面積)(3)運動パフォーマンス能力検査:1)10m歩行スピード(自由歩行、最大速度)2)反復横飛び、3)連続ジャンプ回数(両足、片足)、4)単脚立位保持時間(開眼・閉眼)、5)つま先立ち単脚立位保持時間(開眼・閉眼)。
【結果】(1)脳MRI画像ではFLAIR条件が最も脳損傷部位を広く描出可能であったが、全例小脳の異常所見は認められなかった。(2)SPECT所見:小脳の血流低下を認める例が59%に及び、DAIによる小脳脚の損傷やCCDによるものと考えられ、運動制御能力低下の一要因と考えられた。(3)重心動揺計検査:閉眼立位時の単位軌跡長が正常値の2SDを越えたものは8名(47%)であった。(4)運動パフォーマンス能力検査では、社会参加に必要と考えられる旬敏性や動的バランス能力において低下が認められた。重心動揺計検査における閉眼単脚立位検査で平均値の1SD以内の正常値を示した7名においても運動パフォーマンス能力検査では健常者に比べ低値を示した(動的運動検査の反復横飛び:20.2±9.7回/20秒、静的運動検査での開眼つま先立ち単脚立位保持時間:6.6±10.8秒)。
【考察】今回検討したTBIによる高次脳機能障害者は、日常生活においては独歩可能で立位での作業も支障ない状態であったが、就労などで要求される俊敏性や動的バランス能力などの高い運動能力は多くの例で低下がみられた。その原因としては、SPECTでの大脳皮質の血流不整所見や小脳半球の血流低下からDAIやCCDの関与が考えられる。また、重心動揺計検査で正常範囲を示した7名のうち6名が運動能力パフォーマンス検査で正常者と比べて低値を示したことは、パフォーマンス検査が高い運動レベルの評価として鋭敏であり、就労などの社会参加に向けた運動能力を評価する上で有用であると考えられた。
【結語】独歩可能なTBI高次脳機能障害者17名に運動パフォーマンス能力検査を実施し、社会参加に必要な高い運動能力を評価する上で有用な検査と考えられた。
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© 2005 日本理学療法士協会
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