理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 872
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神経系理学療法
食事中のむせと反復唾液嚥下テスト(RSST)の関係
*水池 千尋木村 朗大城 昌平吉川 卓司小島 千枝子重森 健太稲田 剛久柴 友紀子宇野木 昌子
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抄録
【はじめに】現在,嚥下障害の診断には嚥下造影が最も有力な検査法とされているが,施設や在宅では,スタッフや設備等の理由で実施困難なことが多い。また、その他のスクリーニングテストとしては,才藤らの反復唾液嚥下テスト(以下,RSST)が用いられている。しかし,痴呆や高次脳機能障害を有する者では検査の指示を理解し、正確に実施することも困難なことが多い。そこで今回,食事場面の観察により嚥下障害を判断することが可能かどうかを検討することを目的として,痴呆のない要介護高齢者の食形態別に食事中のむせとRSSTとの関連を調査した。
【対象と方法】対象は,重度の痴呆や高次脳機能障害を有さず指示理解が可能な介護老人保健施設を利用している要介護高齢者36名(男性10名,女性26名),平均年齢77.9±9.6歳であった。本研究の目的を説明し,同意を得てから調査を行った。食形態の分類は,水分と水分以外とし、水分以外は,主食が米飯・粥,副食が普通食・きざみ食・超きざみ食であった。これらの食形態別に対象者が日頃食している昼食摂食中のむせの有無を調査した。嚥下障害の評価方法として,RSSTを実施した。統計分析は,むせの有無で2群に分け,RSSTのスクリーニング値の目安とされる3回/30秒以上と2回/30秒以下に分けてχ2検定を行った。むせの有無の2群のRSSTの回数の平均値の差は対応のないt検定を行った。有意水準は5%未満とした。
【結果】1)36名のうち11名(31%)に食事中のむせがみられた。水分の摂取時にむせがみられたのは6名(17%),水分以外の摂取時にむせがみられたのは8名(22%)であった。2)水分摂取時のむせが無い者のうち,RSSTが2回以下は13名(43%),3回以上は17名(57%)であった。水分摂取時にむせがある者は全員,RSSTが2回以下であった。χ2検定の結果,水分摂取時のむせの有無とRSSTに関連がみられた。水分以外の摂取時のむせの有無とRSSTには関連がみられなかった。3)水分摂取時のむせの有無によるRSSTの平均値(むせ有り:1.2回,むせ無し:2.4回)に有意差が認められた。
【考察】今回の結果より,食事中の水分摂取時のむせが嚥下障害の指標となりうる可能性が示唆された。一方,水分以外の摂取時のむせとRSSTとの間には関連がみられなかったが,今回の評価時に水分以外の食形態を一群として評価をしたことが一因である可能性もある。今後,水分でむせている人は水分以外の何でむせているのかを調査して関係をみていくことが,嚥下障害への対処法となりうると考えられた。
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© 2005 日本理学療法士協会
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