抄録
【はじめに】当院では移動・移乗能力獲得のため、早期から麻痺側下肢に荷重を促し、正中位を意識させたバランス訓練として立ち上がり訓練を行なっている。そこで今回、歩行訓練開始時期にはどの程度麻痺側に荷重がかけられているのかを検討した。
【対象】2004年6月から2004年11月まで当院にて入院加療を行なった脳卒中患者のうち、初発であり、訓練に影響を及ぼす合併症・既往歴がなく、転退院前に自力にて立ち上がり動作が可能になった12例(女性5例・男性7例、脳出血6例・脳梗塞6例)。なお、発症より2週以後まで半側空間無視が残存した例は除外した。平均年齢は61.3±12.1歳であった。
【方法】平行棒を把持した車椅子座位から自力にて立ち上がり、立位が安定するまでの下肢荷重量をデジタル体重計にて測定した。立ち上がり動作と体重計表示を合わせてビデオ撮影し、コンピュータに取り込み解析した。なお、解析には体重比(%)(個別の実際の麻痺側下肢荷重量/体重×100)を用いた。測定は自力立位可能時から転退院まで1週間毎に行なった。そこで、歩行訓練開始前後における麻痺側下肢荷重量について比較、検討した。統計処理は危険率5%未満を有意水準とした。
【結果】発症から立ち上がり訓練開始まで11.0±6.5日、自力立位は19.5±9.6日で可能となり、また、歩行訓練開始は20.5±9.5日であった。麻痺側下肢荷重量は1例を除き全ての症例で増加しており、歩行訓練開始前後における麻痺側下肢荷重量はそれぞれ歩行訓練前:29.2±7.8%、後:42.6±6.9%であり、有意な差を認めた。
【考察】今回の結果より、ほぼ両下肢均等に荷重をかけられるようになった段階で歩行訓練に至っていることが改めてわかった。すなわち、正中位を意識させた訓練が達成された頃が、およそ歩行訓練へ移行可能な時期であると推測される。今後、麻痺の左右差や認知障害による麻痺側下肢荷重量の違いについて、症例数を増やして検討していきたい。