理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 890
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神経系理学療法
破裂脳動脈瘤によるくも膜下出血とリハビリテーション
―FIMを用いての解析―
*吉岡 理恵子松永 梓有澤 陽子
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抄録
【背景】破裂脳動脈瘤によりくも膜下出血(SAH)を発症した患者の多くは、脳動脈瘤再破裂予防のための外科的処置とSAH自身に対する保存的療法を経て、急性期病棟から直接在宅退院する。しかし、その一部は急性期治療の後にもリハビリテーション(リハ)訓練を要することがある。

【対象と方法】破裂脳動脈瘤によりSAHを発症した患者で、急性期の外科的治療を終了した後にもリハ訓練を要した症例で、2004年1月から同年7月までに当院回復期リハ病棟から退院した5例(女5;発症時年齢:58-74、平均64.7歳)を対象とし、リハ開始時と退院時のFIMを中心に、その転帰にかかわる諸因子を検討した。

【結果】全例、病前ADLは自立しており、発症から退院までは6週~16週(平均11.8週)であった。リハ開始時のFIMは126点中18~83(平均40.2)点、退院時は29~125(平均85)点であり、FIMの改善は11~87(平均44.8)点であった。
1.動脈瘤部位別のFIM改善度:右内頚動脈-後交通動脈分岐部動脈瘤では、2例は41、83点から発症後6週目の退院時には94、123点まで回復しており、1例は急性期治療中に脳血管攣縮、脳室腹腔シャント術を必要とする水頭症などが生じ、18点から29点の改善であった。右中大脳動脈動脈瘤の1例は初期には軽度の左不全片麻痺と左視空間無視があり、FIMは38点であったが、発症後15週目の退院時には125点、他の1例では脳血管攣縮と水頭症を生じ、21点から16週目の退院時に54点に改善したのみであった。
2.FIM評価項目別の改善度:セルフケアは42点中6~23(平均12.8)点から10~42(平均28.8)点、排泄コントロールは14点中2~14(平均4.8)点から2~14(平均11.6)点で、5例中4例が14点まで回復、移乗は21点中3~12(平均7.2)点から5~21(平均14.8)点、移動は14点中2~8(平均3.2)点から2~13(平均7.6)点、コミュニケーションは14点中2~11(平均5.8)点から4~14(平均10.0)点で、2例が14点まで回復、社会的認知は21点中3~15(平均6.0)点から6~21(平均12.2)点で、2例が21点まで回復した。

【考察と結論】破裂脳動脈瘤によるSAH患者の転帰には、SAH自身による脳実質への影響のみでなく、脳内血腫、遅発性脳血管攣縮とそれに伴う脳梗塞、正常圧水頭症などが強く影響することが指摘されているが、ここで報告した5例でもこれらを確かめることができた。また、今回のFIM評価項目別の検討では、症例数は少ないが、排泄コントロール、次いでセルフケア、コミュニケーション能力などが改善しやすい傾向を示した。
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© 2005 日本理学療法士協会
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