理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 893
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神経系理学療法
筋萎縮性側索硬化症における呼吸機能の特徴
*松尾 善美鎌田 理之橋田 剛一井上 悟阿部 和夫
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抄録
【はじめに】
 呼吸機能は筋萎縮性側索硬化症(以下ALS)の生命予後を決定する重要な要素であり、一部はそのトレーナビリティを考慮する必要がある。よって、ALSの呼吸機能の特徴を知ることは理学療法の介入上重要である。
【対象と方法】
 被験者は50名のALS患者(男性27名、女性23名)で年齢は平均60.8歳(34-87歳)であった。全患者は当院神経内科・脳卒中科にてEl Escorialの基準により診断され、リハビリテーション部で診療を行った。平均罹患期間は20.8ヶ月(1-81ヶ月)であった。我々は、発症部位により四肢発症(以下LO)34名と球麻痺発症(以下BO)16名に分類した。さらに、疾病期間により発症後16ヶ月までの短期群(以下SD)25名と発症後16ヶ月以降の長期群(以下LD)25名に分類した。
 呼吸機能はMinato Medical Science社製Autospirometer System7にて坐位で測定し、測定項目は肺活量 (VC), 努力性肺活量 (FVC), パーセントFVC (%FVC), 一回換気量 (TV), 一秒量(FEV1), 一秒率 (FEV1%), 50%VCでの最大呼気流速 (V50)、25%VCでの最大呼気流速(V25), V50/V25であった。
 統計解析はSPSS社製Dr. SPSS 2, version 11.0.1Jを用い、unpaired-t test with one tailedないしはtwo tailed testによる検定でp<0.05を有意とした。
【結果と考察】
 呼吸機能は全体的に低下していたが、%FVC、FEV 1%、TVはLO、BO間で有意差がなかった。BOにおけるV50/V25はLOより有意に低値であった。%FVC、FEV1%、V50/V25はSD、LDで有意差がなかった。SDにおけるTVはLD より有意に高値であった。
発症までの期間に対する影響を検討するためにLOを発症後16ヶ月までの短期群(以下LOSD)と16ヶ月以降の長期群(以下LOLD)のサブグループに、さらにBOも同様にBOSDとBOLDに分類した。LOSDのFEV1%とTV は LOLD より有意に高値であった。LOSDとLOLDでは、%FVCとV50/V25に有意差がなかった。BOSDとBOLDでは、FVC、FEV1%、V50/V25、TVで有意差がなかった。
 発症部位による影響を検討するためにSDを四肢発症のSDLOと球麻痺発症のSDBOに、さらにLDを同様にLDLOとLDBOに分類した。SDLOとSDBO、LDLOとLDBOでは各々FVC、FEV1%、V50/V25、TVに有意差がなかった。
【結論】
 四肢発症タイプにおいてV50/V25の高値は呼気筋弱化を示唆し、長期群におけるFEV1%とTVの高値は呼気筋弱化が疾病進行に伴い悪化することを示唆した。呼気筋を代償させる理学療法介入はALSの予後を改善するために必要である。
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© 2005 日本理学療法士協会
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