理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 1
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骨・関節系理学療法
自家屈筋腱を用いた前十字靱帯再建膝の生体力学的特性の術後経過
―解剖学的2ルート手技と従来の1ルート手技との比較―
*田邉 芳恵信太 雅洋伊藤 俊一福田 修近藤 英司安田 和則
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抄録
【目的】膝前十字靱帯(ACL)損傷に対する1ルート再建術には種々の改良が重ねられ、術後成績はこの10年間に大きく向上し、安定した術後成績が得られるようになった。しかし、未だ種々の問題点も残されている。共同演者の安田らはACL再建術の更なる改良を企図し、自家膝屈筋腱を用いる解剖学的前内側および後外側線維束(AMBおよびPLB)再建術を開発した。第38回本学会において演者らは、その1年成績が従来の1ルートACL再建術のそれよりも良好であったことを報告した。その結果を受けて行った本研究の目的は「この解剖学的再建術でACL再建を受けた膝関節の生体力学的特性が術後1年間にどのような経過で再獲得されたのか?」また「その経過は従来の1ルート再建術後の経過とどのように異なるのか?」を明らかにすることである。
【方法】症例は鏡視下ACL単独再建を行った連続する48例である。最初の24例(I群)では大腿骨骨孔を従来の1時(11時)の方向に作成して6本の屈筋腱を組み込んだハイブリッド(SGH)材料を1本移植した。次の24例 (II群)では、脛骨および大腿骨上のAMBおよびPLBの付着部の中心を貫通する骨孔を作成し、AMB再建のために4本、PLB再建のために2本の腱を組み込んだSGH材料を移植した。手術は熟練した一人の術者が行い、同一初期張力(I群は80N、II群は各材料に40Nずつ計80N)、同一方法で固定した。術後は全例に同一の後療法を行った。その内容は、手術翌日より屈曲30度で固定する膝装具を装着し1/2荷重を許可した。膝伸展他動運動は術翌日から、屈曲他動運動は15日目から開始した。手術後2週目から全荷重歩行を許可し、4週で装具の角度制限を除去した。装具は術後3ヶ月間装着した。ACL再建膝の生体力学的特性の測定は、術前および術後3、6、9、12ヶ月の各時期にKT-2000を用いて膝関節20度屈曲位で行った。得られた荷重-変位曲線より膝前方移動距離(AD)および線型剛性を求めた。統計には分散分析を用いた。
【結果】術前および術後3、6、9、12ヶ月におけるADの対健側差の平均値はI群で4.9mm、0.7mm、2.3mm、2.5mm、2.8mmであった。一方、II群で5.0mm、0.1mm、0.6mm、1.0mm、1.1mmであった。術後3ヶ月では2群間に有意差を認めなかったが、術後6、9、12ヶ月ではII群がI群より有意に低値であった(p<.05)。線型剛性の経過に関しては両群間に有意差は認められず、術後12ヶ月における対健側比はI群74%、II群75%であった。
【考察】解剖学的AMBおよびPLB再建術の成績良好の原因は、3~6ヶ月におけるAD値の増加が従来の再建術より有意に少ないことにあると考えられた。理学療法士はACL再建膝の生体力学的特性に関する知識を正確に持つことやACL再建術の進歩に目を向け、正しい後療法を行なうことが重要である。
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© 2005 日本理学療法士協会
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