理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 147
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骨・関節系理学療法
膝前十字靭帯再建術後の大腿四頭筋機能評価に関する一考察
*村橋 淳一古川 公宣下野 俊哉河野 公昭村橋 喜代久桑坪 憲史勇島 要室田 一哉佐治 泰範山賀 寛
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抄録
【目的】今回我々は,膝前十字靱帯(以下ACL)再建術後の膝伸展筋力と筋活動を測定し,非傷害側との機能的な比較を行い,若干の知見を得たので考察を加えて報告する.

【対象】対象は当院関連病院にて膝屈筋腱多重折を用いてACL靭帯再建術を行い,術後24週以上経過した競技スポーツ選手6名(男性3名,女性3名,平均年齢19.5±5.3歳)を対象とした.

【方法】
方法は等速性筋力測定器BIODEX System3に表面筋電計Noraxon社製TeleMyo2400を同期させ,60,180deg/secの角速度にて膝関節屈曲90°から伸展0°までの等速性膝伸展筋力(ピークトルク値)および筋活動を同時に測定した.表面筋電図測定の被検筋は内側広筋(以下VM),外側広筋(以下VL)の2筋とし皮膚処理を行った後,電極間距離30mmになるよう筋線維と平行に電極を貼付した.運動課題は等速性膝伸展運動を各5回ずつ施行し,中間3回の平均振幅(Mean Amplitude)の平均値を解析に用いた.得られたデータから,各々の値の非傷害側に対する傷害側の割合(傷害側/非傷害側比)を算出し比較検討を行った.統計学的分析にはt検定を用い有意水準は0.05以下とした.

【結果】膝伸展ピークトルクにおいては,180deg/secは88.7±9.0%,60deg/sec91.1±13.9%と速い速度の運動が低値を示した.各被検者間の値を見ると前者では全ての傷害側が低値を示すのに対し,後者の方は被検者間での差が大きかった.VLの非傷害側に対する傷害側の割合は,60deg/secで116.1±25.7%,180deg/secでは124.3±27.9%と後者が有意に高値を示した(p=0.03).VMは60deg/secで102.5±24.5%,180deg/secでは112.1±33.3%と同様に180deg/secが高値を示したが有意差はなかった.(p=0.28)

【考察】ピークトルクの結果から,高い出力を得られる遅い速度の運動ではその高い出力を得るまでに回復を示している者もいるが,速い速度での運動には対応しきれない可能性が示唆されていた.平均振幅の非傷害側に対する傷害側の割合が高くなるということは,傷害側の筋活動がより高くなることを示している.しかしこれに比してピークトルク値の傷害側/非傷害側比が低下するという結果は,傷害側と非傷害側間での筋活動によって発生される筋力差が速い速度の運動ほど大きくなることになる.また,VMの筋活動に有意差が見られなかったことは,VMの回復過程には個体差が大きいのではないかということも推察された.これらのことから考えると,ACL再建術後のリハビリテーションプログラムを作成する際には,運動速度を変化させた状態での筋力評価に加えて個々の大腿四頭筋構成体の機能評価を行い,個人の状態にあったトレーニングを行う必要があると考える.
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© 2005 日本理学療法士協会
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