理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 148
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骨・関節系理学療法
脳卒中片麻痺患者の骨密度の検討
*梶原 史恵江西 一成大川 裕行坂野 裕洋植松 光俊飯田 邦人寺島 理恵大田 英登坂元 洋高佐々木 美帆小川 紗奈江友田 裕雄中野 寛幸田中 保名美深谷 智
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抄録
【はじめに】
 高齢期における骨粗鬆症は、転倒による骨折の原因になり、大腿骨頚部骨折においては寝たきりになる可能性が高いと言われている.さらに、脳卒中片麻痺患者ではとくに麻痺側の骨萎縮が生じることが報告されている.そこで、本研究では、脳卒中片麻痺患者における骨密度を非麻痺側・麻痺側で調査し、移動能力別に検討したので報告する.
【対象・方法】
 対象は、発症後4ヶ月以上経過した脳卒中片麻痺患者42名(男性20名・女性22名、平均年齢74.8±10.0、Barthel Index58.1±35.3点)とした.このうち、屋内屋外いずれかの移動手段として歩行を利用している歩行可能群15名(男性9名・女性6名、平均年齢68.9±9.5歳、Barthel Index88.3±12.5点)、いずれも車椅子を移動手段としている歩行不可群27名(男性11名・女性16名、平均年齢78.1±8.8歳、Barthel Index41.3±32.5点)に群分けを行った.
 骨密度は,超音波骨評価装置(アロカ社製AOS-100)を用い両側の踵部で測定した.測定肢位は、坐位で膝関節90度屈曲位、足関節0度とし、測定は両側とも3回実施し平均値を算出した.測定結果は,同性・同年齢の平均値との比較値であるZスコア(%)で表し、非麻痺側と麻痺側の骨密度を比較した.統計処理には、t-検定を用いた.なお本研究の実施は、患者への十分な説明と同意のもとに行った.
【結果】
 全対象者における麻痺側と非麻痺側の骨密度の比較は、非麻痺側で87.6±8.2%、麻痺側で86.7±10.8%で有意な関係は認められなかった.歩行可能群の骨密度は、非麻痺側で88.3±10.7%、麻痺側で90.1±14.1%で関係は認められなかった.しかし、歩行不可群では、非麻痺側で87.2±6.7%、麻痺側で84.7±8.2%で有意な関係が認められた(p<0.05).
【考察】
 樋口らは、脳卒中片麻痺患者の骨密度をDXA法で計37領域にわたり測定し、非麻痺側と麻痺側の違いについて検討している.その報告によると、非麻痺側と麻痺側の骨密度のうち、踵骨においては差がなかったとしているが、大腿骨頸部・上腕骨など他部位では非麻痺側と麻痺側で差があったと述べている。さらにG.Yavuzerらも大腿骨頸部と橈骨遠位端において同様の報告をしており、非麻痺側と麻痺側の間には骨密度に差が生じることが示唆されている。従って、今回、歩行不可群で非麻痺側と麻痺側の間に差を認めたことは、脳卒中片麻痺患者の移動能力やADL能力が骨密度に影響していることが推察され、特に歩行不可となるような重症例では、その影響が大きくなることが考えられた.以上より、脳卒中片麻痺患者にとって骨密度の観点からも起立・歩行の重要性があらためて確認された。
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© 2005 日本理学療法士協会
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