理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 310
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骨・関節系理学療法
少年野球選手における投球動作中の注意の焦点
*平井 達也大橋 朗飯田 博己岩本 賢矢澤 浩成千鳥 司浩岩堀 裕介
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抄録
【はじめに】投球動作を学習する過程では,選手自身が身体部位に適切な注意を向けることが重要であると考えられる.今回,学習途上の少年野球選手における投球フォームと動作時の注意について調査し,野球開始初期の数年の差について検討したので報告する.
【対象と方法】対象は,指導を受ける機会の多い投手と投球時痛を訴えている者は除外した某同一チームに所属する15名(年齢9~12歳,経験年数0.3~4.8年)とした.投球は約14m間で行い,動作中デジタルビデオカメラで3方向から撮影を行った.投球フォームの評価は,ビデオ画像からコマ送りで姿勢や運動を観察し,15項目からなる独自のチェックシートを用い,各項目を良好,やや不良,不良の3段階に分類した.注意の焦点については,投球直後「投げる時,何に注意をしているか」と質問し口頭による回答を求め,注意の総数と注意の内訳について調査した.分析は,1)注意の総数と経験年数の相関についてスピアマン順位相関係数検定(有意水準:5%未満)を用いて行った.また,対象を経験年数別に2年未満(B2群),2年~3年未満(B3群),3年~5年未満(B5群)に分類し(各群5名づつ),2)注意の内訳と,3)本人が注意している項目が良好,やや不良,不良,判別不能のいずれかを,群別に検討した.
【結果】1)動作中の注意の平均個数は,1.9±1.1個であり,経験年数との相関はr=0.597で有意な相関が認められた.2)注意の内訳は,B2群は上肢のみであったが,B3群は下肢にもあり,さらにB5群では下肢と体幹にも認められた.3)注意していた項目が良好であった平均個数は,B2群0.4±0.5個,B3群0.6±0.9個,B5群0.8±0.8個であった.やや不良であったのはすべての群で0個,不良であったのはB2群,B3群では0個で,B5群0.6±0.9個.判定不能はB2群0.6±0.9個,B3群2.0±1.6個,B5群0.8±0.8個であった.
【考察】本研究の1)と2)の結果から,経験に従い身体に向ける注意の量と内容が変化することが示唆された.Atkinson&Shiffrin(1968)は,記憶の情報処理過程において,短期感覚貯蔵から短期記憶へ移行する際の選択的注意の必要性を述べている.注意は,運動の成否を判断するため必要で,動作を修正していく際には,特に不良な動作に対する注意が重要になると考えられる.3)の結果から,B5群のみ不良な箇所に注意が向いている者を認め,経験に従い改善しなければならない不良な点に注意が向いていく可能性が示唆された.経験的に投球における身体への注意は,経験年数の他に,投球動作に関する知識なども重要な役割を果たすと考えられた.指導者は,投球フォームを観察するのみではなく学習者が身体に対し適切に注意を向けているかどうかを観察し,選手の学習レベルを把握した上で適切な指導をするべきであると考えられた.
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© 2005 日本理学療法士協会
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