理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 311
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骨・関節系理学療法
高等学校空手道選手の腰痛における身体的特徴の比較
*高橋 晃弘樋口 謙次中山 恭秀
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キーワード: 空手道, 腰痛, 柔軟性
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抄録
【目的】スポーツによる腰痛発生は外傷、体幹筋や大腿筋群のタイトネス、筋力低下、筋出力のアンバランスなど様々な要因が原因として挙げられる。本研究の目的は、空手道選手を対象として、腰痛群と非腰痛群の身体的特徴を測定し、比較検討することである。
【対象と方法】対象は茨城県内の高等学校空手道部選手30名(男性12名、女性18名)、平均年齢16.1±1歳とした。事前に調査に対する説明を行い、同意を得た。腰痛のある選手(以下腰痛群)は13名(男性8名、女性5名)、腰痛のない選手(以下非腰痛群)は17名(男性4名、女性13名)であった。測定項目として、タイトネステストでは各々の筋のタイトネスを評価するために、腸腰筋はトーマステストによる膝窩床間距離、ハムストリングスはSLR角度、大腿四頭筋は尻上がりテストによる踵殿間距離、腰背筋は指床間距離を使用し、各々測定した。測定は両側行い、組手による構えから前後足に分類した。腹筋および背筋持久力の評価としてクラウス・ウェーバーテスト変法大阪市大方式を使用した。また、腰部安定化機能評価(石田らの方法による腰部の圧変動幅の計測)を測定した。統計処理は腰痛群と非腰痛群の2群間でt検定を行った。また、目的変数を腰痛の有無、説明変数を調査各項目としたロジスティック回帰分析を行った。危険率は5%未満とした。
【結果】2群間の比較では、前足腸腰筋で腰痛群6.3±2.7cm、非腰痛群4.2±1.1cm、後足腸腰筋で腰痛群6.4±2cm、非腰痛群4.2±1.1cm、前足大腿四頭筋で腰痛群9.8±4.7cm、非腰痛群6.5±3.4cm、後足大腿四頭筋で腰痛群10±4.2cm、非腰痛群6.7±3.1cm、後足ハムストリングスで腰痛群72.7±9.7°、非腰痛群80±6.1°、腰部安定化機能で腰痛群26.8±12.7mmHg、非腰痛群17.9±6.1mmHgと各々に差(p<.05)が認められた。ロジスティック回帰分析では、後足腸腰筋に回帰係数1.047、オッズ比2.849、95%信頼区間1.266-6.410、(p<.05)という結果が得られた。
【考察】今回の測定から高等学校空手道選手の腰痛には腸腰筋のタイトネスが有意な要因として関連していることが示唆された。空手道の組手の構えは同一側の上下肢を前に出した半身の姿勢から前足の股関節、膝関節を屈曲し、後足の股関節を伸展させて体幹を垂直に保持させる必要がある。腸腰筋にタイトネスがあると骨盤の前傾、腰椎の前彎が増強した状態から体幹を回旋させなければならず、過度のストレスが腰部にかかってしまう。また、突きや蹴りを出すには大きく前方へ踏み込まなければならないが、腸腰筋のタイトネスによって股関節の伸展が制限され、腰椎の前彎が増強してしまう。これらのことから腸腰筋のタイトネスによる腰椎の前彎の増強が腰痛と関連しているのではないかと推測する。
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© 2005 日本理学療法士協会
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