理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 327
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骨・関節系理学療法
軸足接地方法の違いがスパイクジャンの踏切動作に及ぼす影響について
*長見 豊
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抄録
【はじめに】
バレーボールのスパイクジャンプは、助走による水平方向の推進力を踏切で制動しながら鉛直方向へ加速してゆく動作である。そしてバレーボールによるスポーツ障害の一つであるジャンパー膝は、制動場面や着地動作で膝関節伸展機構のメカニカルストレスが増大することにより疼痛が出現すると報告されている。また臨床において、ジャンパー膝症例では踏切動作時に軸足(右打ちの場合は右脚)の接地方法が異なることを経験する。そこで本研究では、踏切動作において制動動作に対する運動方略が異なることにより、軸足下肢の力学的負担が変化すると考え、制動動作の初期接地である軸足接地の違いによる特徴を明らかにすることを目的とした。
【対象及び方法】
対象はバレーボール経験者の健常男性6名に対して、反射マーカを解剖学的ランドマークに貼付し、3次元動作解析システム(VICON MOTION SYSTEMS社製)と床反力計(KISTLER社製)を用いて計測した。計測動作は3歩助走によるスパイクジャンプとし、踏切の初期接地が踵からの接地(以下、踵接地)と前足部からの接地(以下、足部接地)の2通りで行った。得られたデータから踏切時の下腿の軸足下腿の前傾角度、パワーより力学的貢献度を、上部体幹と骨盤の各体節重心の位置変化を算出した。また制動時の矢状面における各座標の位置関係を比較するために、軸足腓骨外果座標から各座標までの距離を算出した。そして軸足接地から身体重心最大低下までを制動相とし、身体重心最大低下から両足離地までを加速相に分け、分析した。マーカ設置は臨床歩行分析研究会の提唱する方法を、体幹部のマーカ設置および重心計算に必要な生体定数はWinterの研究結果を参照した。
【結果】
踵接地に比べて足部接地では前傾角度は上回っていた。(p<0.05)
踵接地は股関節と膝関節の割合がほぼ同等であるのに対し、足部接地では踵接地に比べて股関節の割合が減少し、足関節の割合が増加していた。加速相では筋の求心性収縮を意味する正のパワーが主となり、軸足膝関節の貢献度は踵接地に比べて足部接地が上回っていた。身体重心最大低下時の身体重心、上部体幹重心、骨盤重心、軸足膝関節の位置関係は、踵接地に比べて足部接地ではすべて前方に変位していた。(p<0.05)
【考察】
踵接地に比べて足部接地では下腿の前傾角度が大きくなり、各体節重心位置は前方に変位していたことから、下腿の傾きが重心移動に影響を及ぼしていることが示唆された。また足部接地では重心移動に下腿の前傾が大きく関与するため、軸足下肢の力学的貢献度が変化したと考えられた。以上のことから、踵接地により踵を支点に身体が回転することにで重心移動を制御し、軸足下肢の仕事を分散していると考えられた。
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© 2005 日本理学療法士協会
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