理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 345
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骨・関節系理学療法
当院におけるUKAの理学療法経過について
*黒田 敏広池戸 佳代美澤村 明子小寺 祥恵内藤 亜香里竹原 康浩下川 恵美岩村 美香青竹 康雄五之治 行雄
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キーワード: UKA, JOA Score, 歩行
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抄録
【はじめに】当院では平成15年6月より、単顆置換型人工膝関節(The Oxford Unicompartmental Knee Phase3、以下UKA)を施行している。UKAは最小侵襲手術手技のひとつであり、全人工膝関節置換術(以下TKA)より通常迅速に回復する。今回我々は、当院におけるUKAの理学療法経過について、診療録より後方視的に調査したので報告する。
【対象と方法】平成15年6月より平成16年6月までの約1年間に、当院にてUKA施行した13例13膝、男性3例、女性10例を対象とした。平均年齢は73.0±6.9歳(52歳から80歳)、原因疾患は変形性膝関節症7例、大腿骨内顆骨壊死6例であった。理学療法は術前から開始し、術翌日よりCPM・車椅子乗車・荷重しての歩行練習を開始し、入院中のみ実施した。検討項目は在院日数、術前・退院時のJOA Scoreの比較、術前・退院時の関節可動域の比較、ADLにおける移動能力の変化(車椅子、歩行器歩行、T字杖歩行)とした。
【結果】在院日数は21.3±4.7日であったが、平成16年1月よりUKAのクリニカルパス(2週)を導入してからは16.8±2.0日であった。JOA Scoreは術前53.4±8.7点、退院時63.1±9.6点で約10点の改善であった。関節可動域は術前には伸展-10.0±10.9°、屈曲136.2±6.2°、退院時にはそれぞれ-3.5±6.3°、125.4±14.5°であり、伸展は改善していたが、屈曲は減少していた。移動能力の変化に関しては、車椅子開始が1.9±0.9日で5例が翌日より移動手段として自立していた。歩行器歩行は5.6±2.1日で術後に肺梗塞を発症した1例を除き、全例が1週間以内に自立していた。T字杖歩行は9.2±2.3日で約半数にあたる6例が10日以内に自立していた。
【考察】UKAは適応条件を遵守することが成績を向上させるためには重要で、軟部組織(特に前十字靭帯)と外側のコンパートメントの関節面が全て温存されている症例が適応となる。手術手技に関してUKAは皮切が小さく、膝蓋骨を脱転させることがないため、膝蓋上方嚢の関節液包を損傷しない。そのため、より早期に術後の疼痛が軽減する。筋力についても、大腿四頭筋のメカニズムがほとんど損なわれないため回復も早い。今回の結果からみても車椅子開始1.9±0.9日、歩行器歩行自立5.6±2.1日、T字杖歩行自立9.2±2.3日と、当院におけるTKAの移動能力の変化と比較しても早期に回復していた。関節可動域に関して、UKAは屈曲の関節可動域は改善しやすいが、伸展制限を回復させる矯正力は弱いという特徴がある。しかし、今回の対象は伸展制限が改善していた。術前・退院時のJOA Scoreに関しては、我々の予想を下回る、10点のみの改善であった。その原因を今回明らかにする事はできなかったが、手術操作によるものかアライメントの変化によるものか、膝蓋大腿関節に関係した疼痛の可能性が考えられた。
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© 2005 日本理学療法士協会
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