理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 357
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骨・関節系理学療法
人工股関節全置換術後患者の不安に関する調査
*今野 陽一郎亘理 克治一重 吉史丸山 陽介佐藤 むつみ安藤 亮子長屋 崇
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抄録
【はじめに】当院ではセメントレス人工股関節全置換術(以下、THA)にクリティカルパスを導入し、現在では術後翌日より全荷重許可され、術後15日以降、安定したT字杖歩行が獲得された時点で自宅退院が許可されている。日頃、患者様より日常生活動作に関する不安を聞くことが多く、その不安を調査するためにアンケートを実施した。
【対象と方法】対象は2004年4月30日~8月25日にTHAが行われた15例中11例とした。診断名は全例変形性股関節症、男性2例、女性9例、年齢は64.8±7.8歳、入院期間は26.2±9.0日であり、全例T字杖歩行が自立し自宅退院となった。調査項目は、実際に聞いた内容や、他の報告を参考に、入院生活で必要な動作(以下、院内動作群)、家庭生活で必要な動作(以下、家庭動作群)、社会活動で必要な動作(以下、社会活動群)をそれぞれ8項目、計24項目とした。アンケートは術後1週毎と退院時に面接にて実施し、対象者の不安項目数を各週毎に平均化し検討した。
【結果】不安項目数は、術後1週9.7項目、2週8.6項目、3週4.7項目、退院時2.5項目と減少した。院内動作群では、術後1週3.7項目、2週2.7項目、3週1.5項目、退院時0.4項目と減少した。家庭動作群では、術後1週3.0項目、2週3.3項目、3週1.7項目、退院時0.8項目と2週で高値を示し徐々に減少した。社会活動群は、術後1週3.0項目、2週2.6項目、3週1.9項目、退院時1.3項目といずれも減少傾向を示した。
【考察】当院におけるTHAの理学療法では、術前よりパンフレットを配布し、脱臼肢位を考慮した諸動作の指導を行っている。術後1週は離床を促進し、歩行による病棟内ADL自立に向けた理学療法を施行する時期であり、術後早期に行う院内動作群は、創部痛や脱臼への心配も加わり不安と感じることが多く、2週以後は動作が徐々に獲得されることで、経時的に不安が減少したと考えられる。術後2週頃は歩行による病棟内ADLが自立し、退院を意識する時期であり、床からの立ち上がりなど家庭動作群の練習を開始することが多く、はじめて行う動作には不安を感じ、動作の獲得とともに不安が減少したと考えられる。術後3週頃は退院準備をする時期であり、公共交通機関の利用など社会活動について考慮しなければならないため、退院時には他の動作群よりも不安が多く残存したと考えられる。
今回の調査により、術直後にはさまざまな不安を抱いていることが明らかになった。術後の個々の身体能力や生活環境に合わせた動作練習、動作の再確認などを集中的に行うことにより、これらの不安を解消できると考えられる。今後は、退院時に残存する不安についての具体的な検討や、調査方法や調査項目の再検討を行い、理学療法プログラムに反映させていきたいと考える。
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© 2005 日本理学療法士協会
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