抄録
【目的】肘関節外傷治療後十分な理学療法を行ったにも関らず、関節拘縮が改善せず訓練に難渋する症例を経験することがある。日常生活に大きな支障をきたす外傷性肘拘縮に対しては観血的授動術が施行されることがあるが、その術後療法に関しては一定の見解が得られていない。今回、外傷性肘拘縮に対する観血的授動術の5例を経験した。術後早期からCPMを用い良好な結果が得られたので、その短期成績について報告する。
【症例】症例1:56歳女性、右肘頭骨折術後。症例2:53歳女性、左陳旧性モンテジア骨折。症例3:28歳男性、左上腕骨顆上骨折後変形治癒。症例4:42歳男性、右上腕骨顆上骨折後上腕骨偽関節術後。症例5:73歳男性、右肘鉤状突起骨折後。術後経過観察期間は平均15週であった。
【標準リハプログラム】術後2日目にギプスを除去し、CPMを開始した。1日2回60分から開始し、経過に応じて減少した。訓練後は必ずアイシングを施行し、熱感が持続する場合は病棟でも行った。PTの徒手的訓練も実施した。術後3日目から肘屈筋、2週から肘伸筋、3週から抵抗運動を開始した。術後1週は患肢挙上を原則とし、肩や手指の合併症防止にも努めた。術後5~6週での退院を標準とし、退院時はADLで不自由なく使用できることを目標とした。
【結果】他動での可動域を術前、術後1週、術後3週、調査時の順で示す。屈曲 症例1:70、135、140、145度。症例2:100、130、132、132度。症例3:105、125、130、135度。症例4:120、115、130、135度。症例5:80、140、145、145度。伸展 症例1:-35、-5、0、0度。症例2:-20、0、0、0度。症例3:-15、-5、-5、0度。症例4:-45、-25、-30、-25度。症例5:-35、-25、-15、-20度であった。平均の自動可動域は術前が屈曲99度、伸展-33度で、調査時は屈曲134度、伸展-15.8度であった。
【考察】術後の目標は可動域制限の原因病態が除去された関節の合併症を防ぎ、術中可動域を維持することである。CPMは浮腫の軽減、関節内血腫の早期吸収、関節可動域の早期回復等の目的で、膝関節を中心に広く使用されている。肘関節術後の治療としては装具を使用するとの報告もみられるが、当院では装具は使用せず、CPMを活用することで良好な成績が得られた。他の報告では調査時の可動域が伸展は-11~-17度、屈曲の可動域は115度~128度との結果が散見される。当院では調査時は伸展-15.8度、屈曲134度であり、術後4ヶ月という比較的早期において、すでに他施設と同等以上の結果が確認された。
【まとめ】当院の外傷性肘拘縮に対する術後早期治療について報告した。術後早期からCPMを用いて良好な成績が得られた。