理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 392
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骨・関節系理学療法
入谷式足底挿板療法の効果に関する一考察
―10m歩行と6分間歩行での検討―
*岡部 敏幸甲賀 英敏和田 寿実子川合 旬美水谷 久美秋山 武彦
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抄録
【目的】当院では歩行時痛に対するアプローチとして,入谷式の足底挿板(Insole)療法を平成9年頃より取り入れ,約300例の症例に施行し,歩容の改善と疼痛の軽減を図っている。今回は10m歩行と6分間歩行(6MD)を施行し検討した結果,Insoleの効果に若干の知見を得たので報告する。

【方法】歩行時痛を訴え,Insoleを作成した整形外科的疾患26名を対象とした。年齢は57.4±16.2歳(17-80歳)で男性10名,女性16名であった。歩行形態は独歩17名,1本杖8名,両1本杖1名であった。(1)10m歩行のタイムとVisual-Analog-Scale(VAS)を測定した。距離10m間をできるだけ速く歩かせた所要時間を3回計測し,速度(m/min)を算出した。被験者18例にはまずInsole装着(Insole有)での10m歩行を3回計測し,後にInsole非装着(Insole無)での10m歩行を 3回計測した。他の8例にはInsole無・Insole有りの順で同様に計測を行った。VASは3回目の計測終了後にそれぞれ速やかに被験者自身に記入していただいた。(2)6MDでは被験者に出来る限りの最速歩行を施行させ距離と歩数を計測し,また歩幅(距離÷歩数;step length)も算出した。6MD終了後,被験者自身でVASとBorg scaleを速やかに記入していただいた。被験者15例にはInsole有の6MD 計測後,10分間の休憩をとりInsole無の6MD 計測を行った。他の8例にはInsole無・Insole有の順で同様に計測を行った。それぞれの項目をt検定を用いて5%を有意水準とした統計学的判定を行った。被験者には本研究の趣旨と目的を十分に説明し,同意を得た上で施行した。

【結果】(1)10m歩行での速度はInsole有24.94m/min, Insole無22.04 m/min (p<0.01),VASはInsole有17.5,Insole無30.5(p<0.001)であった。(2) 6MDの距離ではInsole有388.7m, Insole無376.9m(p<0.05),step lengthはInsole有0.56m,Insole無0.54m(p<0.05),VASはInsole有31.7,Insole無48.9(p<0.001),Borg scaleはInsole有3.7,Insole無5.1(p<0.001)であった。

【考察】Insoleは歩行速度や持久力の向上,疼痛の抑制に効果があることが考えられた。足部と下肢各関節とは運動連鎖で連動しているため,足部の機能障害が下肢各関節のマルアライメントを生じ,また逆に下肢の機能障害が足部のマルアライメントを生ずるものと考えられる。したがってInsoleにより歩行時,足部を機能的に良好な状態に維持することで,足部と下肢各関節との適切なアライメントを保持した結果,疼痛が軽減し歩行速度も向上したと考えられた。

【まとめ】Insoleの効果について10m歩行,6MDでの計測により短距離,長距離での歩行について検討した。いずれの歩行においても,Insoleは歩行速度や持久力の向上,疼痛抑制に効果があることが考えられた。
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© 2005 日本理学療法士協会
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