理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 402
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骨・関節系理学療法
股関節術後患者における中殿筋反応開始時間と筋出力が跛行に及ぼす影響
*青木 利彦秋野 賢一大場 佐知子加藤 敏廣高森 宣行戸谷 彰吾樋川 正直川島 邦彦太田 信彦
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キーワード: 跛行, 反応開始時間, 筋出力
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抄録
【目的】股関節術後患者で観察される跛行に関して質的変化の側面からの検討が進んでおり、中殿筋反応時間変化もその因子のひとつであるという報告も多く見られる。今回、我々は骨盤水平位保持機能を持つ中殿筋の反応開始時間と筋出力の関係、また各々が跛行へ及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。
【対象】人工股関節術後患者10名(平均年齢54.9歳)。原疾患は変形性股関節症9名、大腿骨頭壊死症1名であり術後3ヶ月以上経過し10m以上の独歩が可能なものを対象とした。
【方法】被験者は10m自由歩行において三次元動作解析装置を用いて前額面上の骨盤傾斜角度、また表面筋電図にて両側中殿筋筋活動と踵部、足尖部にフットスイッチを同期し踵接地とつま先離地時期の記録をおこなった。骨盤傾斜角度は5段階へ分類し跛行の程度とした。反応開始時間は踵接地時期を基準とし、遊脚期における基線の最大振幅±2SDを超えた時点を反応開始時間(Reaction start time:RST)とした。筋出力に関しては等速性筋機能評価装置を用い股関節外転運動において設定速度(60deg/sec)に到達するまでの時間(Acceleration time:AT)、及び、最大トルク到達時間(Time to peak torque:TPT)を用いた。
【結果】
1.(RST/AT/TPTの術側非術側比較)RSTでは術側が有意に遅延していた(P<0.001)。AT、TPTは有意差を認めなかった。
2.(RSTとAT/TPTの関係)RSTとAT、TPT間に有意な相関は認めなかった。
3.(跛行とRST/AT/TPTの関係)跛行とRST間で有意な相関を認めたR=0.78(P<0.01)。跛行とAT/TPT間に有意な相関は認めなかった。
4.(跛行とRST/AT/TPTの関係の強さ)跛行を目的変数、RST/AT/TPT を説明変数とした重回帰分析では有意な相関は認めなかったが3変数間においてRST、AT、TPTの順に強い傾向にあった。
【考察】正常歩行において中殿筋は立脚期直前より筋活動を開始しており、立脚初期に集中しているという報告もある。今回、跛行に対してRSTの影響を認められたのみであり、他に有意な差は見られなかった。以上から、歩行時中殿筋活動が骨盤水平位保持に必要な時期に活動開始することができず時間的に遅延し力が発揮されることにより、骨盤傾斜が生じているものと考えられ、跛行へ影響を与える因子としてRSTの遅延がその一つであり筋出力よりも関係が強いことが示唆された。本結果からは跛行と筋出力、また反応開始時間と筋出力の関係を示す知見は得られなかった。今回、RSTとAT/TPT計測には計測方法の相違があり、直接比較することには困難な可能性がある。長期の羅病期間を有する事が多い疾患的特徴や先行研究を踏まえると筋レベルの検討を今後の課題としたい。
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© 2005 日本理学療法士協会
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