理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 746
会議情報

骨・関節系理学療法
ソフトボールピッチャーの前膝の痛みについて
*一色 房幸田村 達也呑口 理絵篠原 高文篠崎 千佳星加 伸大浦屋 淳渡部 幸喜白石 貢一郎
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【はじめに】ソフトボールは、オリンピックの正式種目とも成り、競技としてのレベル向上も著しい。特にピッチャーにおいては、時速100kmを超えるボールを投げる選手も、珍しくない。スピードボールを投げる為には、大きな重心移動が必要となる。その為、体重を受け止める前足への負担が、大きくなると考えられる。そこで今回我々は、ソフトボールピッチャーの前膝に着目した。そして、前膝に痛みが有る者と、無い者とを比較検討した。その結果、若干の知見を得たので報告する。
【対象と方法】対象は、S町ナイターリーグに所属する右ピッチャーで、左ジャンパー膝と診断された者(以下A投手)1名と、膝の痛みが無い者(以下B投手)1名の計2名である。対象者には、年齢・身長体重・ピッチャー歴・既往歴・現病歴等の問診を実施した。また、ゲーム中のピッチングを、プレートと一塁ベースを結ぶ延長線上から、ビデオ撮影した。ビデオ画像より、前足が着地してからの膝関節の動きを、1/30秒毎に10コマ、角度計により計測した。そして、無作為に選出した5投の平均角度を検討した。
【結果】A投手38歳男性、身長180cm、体重85kg、ピッチャー歴20年。現病歴として、2003年9月に左ジャンパー膝と診断。現在は、投球翌日に痛みが出現。B投手43歳男性、身長180cm、体重92kg、ピッチャー歴約20年であった。着地から1/30秒毎の、膝関節平均角度(°)として、A投手27.4、28.8、28.6、28.6、24.6、12.4、2.2、2.6、2.8、3.0。B投手30.0、34.0、38.4、38.2、34.8、27.6、15.2、3.4、0.0、0.0であった。
【考察】ソフトボールピッチャーの前膝痛は、着地からの膝伸展機構への牽引ストレスが、原因と考えられる。そこで結果より、1.最大屈曲角度、2.着地角度と最大屈曲角度の差について比較検討した。まず、最大屈曲角度では、A投手28.8°B投手38.4°であった。膝関節角度と伸展トルクとの関係では、屈曲75°をピークに、伸展と共に等尺性トルクも低下している。A投手の場合、膝屈曲角度は30°に満たず、伸展トルクも低い。よって、膝伸展機構に、ストレスを与えていると考えられる。次に、着地角度と最大屈曲角度との差では、A投手1.4°(着地角度27.4°最大屈曲角度28.8°)、B投手8.4°(着地角度30.0°最大屈曲角度38.4°)であった。B投手は、筋張力の大きい遠心性収縮を利用し、牽引ストレスを、分散していると考えられる。一方A投手は、1.4°と等尺性収縮に近い形で、体重を受け止めていると言える。その為、ストレスが集中し、障害が発生すると考えられる。以上より、ソフトボールピッチャーの前膝痛の発生には、膝最大屈曲角度と、着地からの膝関節の動きに、関係があるのではないかと考える。
著者関連情報
© 2005 日本理学療法士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top