抄録
【目的】
近年、スポーツ活動時の外傷受傷肢位は、試合中の外傷受傷画像を分析した先行研究により明らかになりつつある。外傷の予防的な観点からスポーツ動作時の下肢ダイナミックアライメントをコントロールする必要性があると思われ、そのためのエクササイズまたはプログラムを確立することが急務であると考えるが、具体的な介入内容及びその効果について検討された報告は少ない。そこで本研究では、女子バスケットボール選手に多くみられるシュート時の股関節内転、内旋、膝関節外反位(いわゆるknee-in)に着目し、4週間のアライメントをコントロールするためのエクササイズ介入後の変化について検討した。
【対象と方法】
大学体育会系女子バスケットボール選手10名を対象とし、ダイナミックアライメントコントロールエクササイズを行うEx群とエクササイズを行わない群に分けた。全対象にはランニングしながらドリブルを行い、フリースローラインでストップしシュートする一連の動作を行わせ、この時のストップ動作における下肢ダイナミックアライメント変化を測定した。動作画像の記録はデジタルビデオカメラで撮影し、得られた画像から画像解析ソフトウェアを用いて角度を測定した。動作中の大転子-大腿骨外側上顆-外果を結ぶ線のなす角を膝屈曲角、上前腸骨棘-膝蓋骨中央-足関節中央部を結ぶ線のなす角を前額面上の膝角度、両側の上前腸骨棘-膝蓋骨中央を結ぶ線のなす角を股関節角度と規定した。エクササイズの内容は、スクワット10回 3セット・フォワードランジ左右10回・Knee Bent Walkハーフコート3往復・ジャンプ着地5回 3セットとし、基本的な動作から再学習することとした。エクササイズ中は常にneutral positionをとるように意識させ反復練習を行わせた。これを一日に一度、4週間続けるように指示し各自で行わせた。また、エクササイズのコンプライアンス(自己管理における実施状況)も調査した。統計にはtwo-way ANOVAを用い、2群間及び2週間、4週間のエクササイズ介入の前後で下肢ダイナミックアライメントを比較した。
【結果と考察】
2週間のエクササイズ介入時点において、ストップ動作中の経時的な角度変化は、前額面上の膝角度に2群間に有意差が認められた。普段の練習の段階から選手自身に自分の関節位置を意識すること強調し、neutral positionをとるエクササイズを反復練習させることで、複雑な動作においてもコントロールされた動作を行えるようになる可能性が示唆された。