理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 760
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骨・関節系理学療法
下肢関節関与度の異なる運動が静的立位平衡機能に及ぼす影響について
*中村 信在間 康子中村 岳雪藤樫 加代子石塚 佳久板谷 葉子牧野 健一大庭 由幹井上 和久
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キーワード: 平衡機能, 立位, 運動
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抄録
【目的】高齢化社会に突入した現在、高齢者の運動療法における経時的なバランス向上効果ついて検討した報告は少ない。第35回の本学術大会において、高齢者に対し下肢関節関与度の異なるバランス向上運動(つま先立ち動作、起立動作)を実施し、運動直後の平衡機能を安定化させることが報告されている。今回我々はその先行研究にもとづき、一定期間先行研究と同様のバランス向上運動を継続し静的立位平衡機能に及ぼす影響について検討したので報告する。
【対象・方法】対象は、介護老人保健施設入所者14名(平均年齢88.4±6.8歳、男性2名、女性12名)。なお当研究はヘルシンキ宣言に則り、対象者に同意を得たもとで実施した。実施したバランス向上運動は、つま先立ち動作(10回)と起立動作(10回)で、それぞれつま先立ち動作群8名、起立動作群6名の2群に分け、それぞれ1日1回の運動を1週間に2回の頻度で4週間実施し、その後2週間運動を実施しなかった。なお、入所における基本的なサービスは実施し、本研究の実施が被験者の不利がないよう考慮した。使用機器は重心動揺計(グラビコーダGS-3000・アニマ社製)を使用し、運動前・1週間後・2週間後・3週間後・4週間後・6週間後の重心動揺(開眼30秒:総軌跡長・単位面積軌跡長)を測定した。統計処理は、SPSS Ver.12.0を使用し、分散分析・t検定を行い、有意水準5%以下とした。
【結果】つま先立ち動作の結果、総軌跡長において運動前と2週間後、1週間後と4週間後とに有意差が認められた(それぞれp<.05)。単位面積軌跡長においては、運動前と2週間後・3週間後・4週間後・6週間後との間に有意差が認められ(それぞれp<.05)、1週間後・3週間後・4週間後と6週間後との間に有意差が認められた(それぞれp<.05)。起立動作の結果、総軌跡長および単位面積軌跡長の各測定間に有意差は認められなかった。
【考察】重心動揺の大きさを示す総軌跡長は、つま先立ち動作において運動前と2週間後とを比較すると有意な減少傾向が認められ、起立動作には有意差は認められなかった。さらに固有受容性姿勢制御度を示すパラメーターである単位面積軌跡長は、つま先立ち動作では運動前後および運動中止後において有意に増加傾向を示し、起立動作においては有意差が認められなかった。これらの結果から、起立動作よりつま先立ち動作が固有受容性姿勢制御機構を賦活させていることが推察された。また、つま先立ち動作は、運動を中止した2週間後においても固有受容性姿勢制御機構に影響を与えていることが考えられ、つま先立ち動作による運動の経時的効果が示唆された。以上のことから静的立位平衡機能を向上させる運動には、起立動作より足関節を大きく関与させたつま先立ち動作が有効だと示唆された。
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© 2005 日本理学療法士協会
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