住宅需要の変化に伴い、木材に対して強度や形状の安定性が求められるようになり、乾燥材や集成材へのニーズが高まっている。しかし、欧州などからの集成材の輸入が急増する一方で、乾燥費用の負担の問題から国内の乾燥材生産量は製材品の1割程度に留まっている。本研究では、既往研究及び聞き取り調査による情報に基づき乾燥材生産に対する経営プロトタイプモデルの構築を行い、持続的な生産に対する経営分析を行った。分析対象は、乾燥が難しいとされるスギを中心とし、加えて他の樹種についても検討した。分析の結果、持続的に乾燥材生産を実現するには、費用削減などの単独項目の効率化だけでは不十分であることが分かった。小規模工場が多い我が国では、現在ある製材工場に乾燥設備の導入をしても投資効果が発揮されず、採算が合わない結果となった。生産の効率性を向上するには、製品の多様化が必要不可欠であることが示唆された。