理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 764
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骨・関節系理学療法
坐位バランスと歩幅との関連性
*城下 貴司野村 紗弥可松浦 武史
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キーワード: 歩行, 歩幅, 坐位バランス
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抄録
【はじめに】
日頃の臨床では、坐位バランスの戦略と歩行動作の戦略が似ている症例をいくつか経験する、そのような症例に坐位バランスからアプローチし歩容が改善する事も経験する。一方文献的に坐位バランスと歩行動作との関連性について運動学的にまとめられている報告は見当たらない。本研究では坐位バランスと歩幅との運動学的な関係を検討することを目的とする。
【対象および方法】
対象は、健常者20名、年齢36.9±10.84歳、(男性:9名 女性:11名)とし、坐位バランスの測定機器はGRAVICORDER GS-1000(anima社製)を使用した。測定開始姿勢は,足底接地せずに、腕組みした静止端坐位から、可及的に頭部の位置を動かさずにできるだけ片側の骨盤を挙上し10秒間保持した、静止端坐位から坐圧中心点移動距離を計算し、右から左の距離の差を対数変換した。
歩幅に関しては、器材はgait rite(ヘンリージャパン)を使用し裸足で「自然な速さで歩いてください」と指示し、9.66m自然歩行を行い中央の3.66mをdataとして採用し、右の歩幅から左歩幅の差を対数変換した。
統計処理は、坐圧中心点移動距離と歩幅との対数変換値をspearmanの相関係数をとった。
【結果】
全被験者に対しては坐位移動距離と歩幅とは、有意な相関は認められなかった(n=20 r=-0.381 p=0.098>0.05)が、坐圧移動距離が左右で明らかな差が認められる被験者と、ほとんど左右差がない被験者が認められた。そこで、坐圧中心移動距離に10mm以上の左右差のある群と、10mm以下の左右差なし群に分類して解析した。すると左右差あり群は坐位バランスの移動距離と歩幅は有意な負の相関が得られた(n=10 r=-0.726 p=0.017<0.05)が、左右差なし群では有意な相関がえられなかった(n=10 r=0.358 p=0.310>0.05)
【考察】
全被験者を対象に解析すると有意な相関が得られなかったが、20人中13人の65%が坐圧移動距離で大きく移動可能な方向と反対側の歩幅が高値をしめし、左右差のあり群は負の相関が認められ、80%の被験者が坐圧中心移動距離と対側の歩幅と関連が認められた。
以上から、仮に坐位で左へ移動距離が対側よりも明らかに大きい場合は、右の歩幅が大きい傾向ある可能性が高いことが言えるが、坐位バランスと歩幅との関連性は、いかなる症例にも適応するものではない。臨床的には坐位の戦略から左右差が認めれるかを評価し、仮に明らかに左右差が認められたならば歩行との関連性はあることを疑い、評価治療を展開していくべきと思われる。
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© 2005 日本理学療法士協会
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