理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 934
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骨・関節系理学療法
大腿骨近位部骨折症例の受傷後6ヶ月の予後調査
―病病連携を含めた歩行予後・生活場所調査―
*江郷 功起磯野 美奈子山下 満博西辻 一成
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抄録
【目的】
 大腿骨近位部骨折に関し、早期離床・早期荷重のもと単独施設での歩行回復率や自宅復帰率の報告は見られるが、リハビリテーション(以下リハ)目的に転院した症例を含めた追跡調査報告は少ない。今回我々は大腿骨近位部骨折のうち、自宅生活者がどの程度退院時に回復しているのか、また転院となった症例のうち受傷後6ヶ月でどこまで回復できたかを合わせて調査し、歩行予後と生活予後を把握するのが目的である。
【対象と方法】
 過去3年間に入院して観血的治療を行った65歳以上の高齢者93例(平均年齢80.1歳)を対象とした。なお受傷前に自宅生活者で歩行自立していた高齢者に限ることとした。
 方法はカルテより後方視的に退院時の様子を調査した。また近隣の病院へ転院となった症例については協力を依頼し、受傷後6ヶ月の様子を記載して頂いた。
 調査項目は1.当院退院時の歩行能力、2.当院退院時の生活場所をまず調査した。次に、転院症例の動向として3.転院症例の受傷後6ヶ月後の歩行能力、4.受傷後6ヶ月の生活場所を調査した。最後に5.当院自宅退院と合わせた歩行予後予測、6.当院自宅退院と合わせた生活場所予測を行った。なお、5および6は100分率で表すこととした。歩行能力は4レベル(屋外自立、屋内自立、屋内介助、歩行不可)に分類し、生活場所は3レベル(自宅・病院・施設)に分類した。
【結果】
 当院退院時の歩行能力および生活場所をみると
1.屋外自立37例、屋内自立40例、屋内介助17例であった。
2.自宅退院61例、病院32例、施設1例であった。
病院への転院症例32例のうち調査協力の得られた症例は17例であった。
3.屋外自立2例、屋内自立12例、屋内介助2例、歩行不可1例であった。
4.自宅9例、病院7例、施設1例であった。
当院退院後の歩行・生活場所の変化を合わせると
5.屋外歩行自立52.3%、屋内歩行自立37.5%、歩行介助8.2%、歩行不可1.9%となった。
6.自宅81.1%、病院15.9%、施設3.0%となった。
【考察およびまとめ】
 近年の医療情勢では単独施設での経過フォローは難しく、病院機能の役割分担が地域の中で求められ病-病連携や病-診連携の強化をはかり地域で完結する医療を目指すよう誘導されている。
 今回の調査では屋内歩行以上を当院退院時に80%の症例が再獲得し、6ヵ月後には90%の症例が再獲得できていた。移動手段としての歩行回復は優先課題であり、ニーズも高い。高率で歩行回復されていることが確認された。生活場所に関しては65%の症例が自宅復帰し、6ヵ月後には80%となっていた。
 自宅環境の整備や介護保険の適応も成果の一つと考えるが、身の回りの動作の自立が大切である。下肢機能や歩行能力向上がADLを向上させ自宅復帰に繋がったと考える。今後も継続したリハが行える体制つくりや病-病連携の強化が必要と思われた。
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© 2005 日本理学療法士協会
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