理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 933
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骨・関節系理学療法
深屈曲可能な人工膝関節術後の中期報告
*岩永 健児小川 絹代吉田 昭彦平野 英三飯盛 宏一山内 彰岡田 常春圍 直樹高瀬 祐二木村 亮子川口 雄一溝口 優子吉岡 正樹
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抄録
【目的】近年、人工膝関節の進歩により深屈曲が可能になり、それに伴い活動性も上がってきた。しかしまだ耐久性など注意しなければならないことがある。そこで我々は当院で行われた深屈曲可能な人工膝関節全置換術(以下TKA)を行った症例の退院後の状況について調査を行ったためここに報告する。
【平成13年手術者の退院時の状態】症例:26例33膝、膝屈曲角度:平均139.8度(120.0度~155.0度) 退院先:全例自宅、歩行:自立25例・介助1例、脱臼例:1例
【対象・方法】Zimmer社のLPS-flex mobile bearingを使用し、術後約3年(34ヶ月~45ヶ月)経過した症例で追跡可能であった男性3例3膝、女性18例23膝に対し、日本整形外科学会OA膝治療成績判定基準(以下JOAスコア)・痛み・生活様式・肥満度・手術の満足度についてアンケート調査を行い結果について検討した。疾患別では変形性膝関節症18例22膝、関節リウマチ3例4膝。平均年齢72.4歳(62歳~83歳)であった。
【結果】JOAスコアは平均69.2点(15点~100点)であった。21例中19例が退院時の能力を保っており、満足度も高かった。しかし痛みが強く残る2例の満足度は低かった。術前に比べると軽減しているが、10例に何らかの痛みが残っていた。患者の一番のニーズは除痛であったため、満足度は術後の可動域ではなく痛みの程度に比例した。3例が日常生活において介助を要し、内2例は人工膝関節の影響があった(脱臼例と感染例)。また、5例の肥満と6例の職業(農業)復帰した症例が見られた。現在のところ、仕事を行っている症例も退院時と差はなかった。
【まとめ】地域柄、術前大半の症例が農業にたずさわっており、痛みで仕事が出来ずに手術を行う症例も多い。痛みをとるために手術を行うのだが、それにより仕事をする楽しみを制限するのではなく、QOL(Quality of life)を向上させる為にも最大限ニーズを生かせるような方法を柔軟に考えていく事も大切ではないだろうか。今回、トラブルが起こった症例以外は良好な結果が得られた。深屈曲可能な人工膝関節の手術と積極的なリハビリにより活動性が上がることによって、リスクの高い動作及び職業(農業)復帰をする可能性も上がる。人工関節保護の点では術前より体重管理や職業復帰に対して人工関節の磨耗やルーズニング等の危険性を説明し、仕事以外にも目を向けてもらえるよう家族や周囲の人達にもTKAに対して理解と協力を求める必要がある。今後は仕事を行う症例の長期成績も視野に入れ追跡調査を続けていきたい。
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© 2005 日本理学療法士協会
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