理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 937
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骨・関節系理学療法
当院における膝関節軟骨損傷に関するアンケート調査(第一報)
*後藤 誠行司 エリ鈴木 国夫嶋田 智明
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抄録
【目的】
変形性関節症(以下OA)では関節軟骨が薄くなることは初期から見られ、症状発現の一つと考えられているが、軟骨再生に根本的な治療法がないのが本症の現状である。当院では関節鏡手術時、軟骨損傷があった場合、術後4週以上PTBブレースにて荷重をコントロールしたリハビリテーションを実施している。そこで本研究では、軟骨損傷が確認された症例に対しアンケート調査を行ない、術前のデータなどを含め検討してみた。

【方法】
平成5年以降、変形性膝関節症・膝内障と診断され、当院にて関節鏡手術を受け軟骨損傷を確認した症例に対してアンケート調査を実施し、88/122例から回答を得た(回収率72.1%)。対象は女性73例男性15例、平均年齢60.6歳、調査時期は術後平均4.5年であった。アンケート内容は基本情報に加え、WOMACスコア・SF36の一部を利用し、臨床評価として、術前・術後の疼痛、可動域、リハビリテーションの期間、術後期間、入院期間などを含め比較した。アンケート調査結果との関連性は、因子変数を2群に調整したχ2検定とMann-Whitney検定を用い、有意水準5%以下を有意差ありとした。

【結果】
年齢別では満足度(p<0.05)作業への支障(p<0.05)活動制限(p<0.05)などで有意差がみられた。術後期間では4年を境に社交活動(p<0.05)浴槽の出入り(p<0.05)で差が認められた。術前屈曲制限の有無では差がなかったが、術前伸展制限の有無と歩行時間(p<0.05)・関節の固さ(p<0.05)・安静時痛(p<0.01)の項目で有意差を認めた。リハビリテーション期間と入院期間では有意差はみられなかった。「良い・まあまあ」の健康状態が96.5%、手術への満足度は84.7%であるのに対し、残りの人生への不満が47.5%であった。

【考察】
術後成績を悪化させる因子に年齢が挙げられ、先行研究の結果を裏付けることになった。術前の屈曲制限に比べ伸展制限の存在が、術後機能に影響することが明らかになった。立位・歩行時の伸展位姿勢と、軟骨損傷は圧倒的に膝伸展位荷重面に多いことからと思われる。関節鏡を経験することにより、膝への負担を減らすような生活リズムへ変更することが、膝OAの進行を遅らせる一因になるのではないか。移動能力として下肢機能の維持・改善を終生継続することが、良好な治療成績・QOL向上を得るために重要であることを強調する。どのような機序で疼痛が緩和されるのか、荷重ストレス、肥満などとの関連については、さらに詳細な研究が必要と考える。
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© 2005 日本理学療法士協会
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