理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 961
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骨・関節系理学療法
膝前十字靱帯再建術後の等速性筋力と脛骨の前方動揺性との関係について
*染谷 卓志池田 耕太郎齋藤 友香能波 亜紀水梨 将宏森田 英隆
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抄録

【はじめに】bisocket法(以下B法)は膝前十字靭帯(以下ACL)再建術の一方法で,大腿骨孔を2つ作製し,半腱様筋腱単独または半腱様筋腱と薄筋腱を用いてACLの前内側束と後外側束に近似した靭帯を再建するものである。これに対し,従来の1本の再建靭帯を用いる方法をsingle socket法(以下S法)と呼んでいる。両方法における脛骨の前方動揺性の術後成績に関しては,S法よりB法の方が小さいとの報告がなされている。また,両方法の術後筋力に関しては報告があまりないが,我々の先行研究では,術後3ヶ月と6ヶ月時点での等速性筋力の健患比については有意差が認められなかったという結果が出ている。この先行研究報告の際,術後筋力と脛骨の前方動揺性との関係について検討してみてはどうかとの指摘があった。そこで今回,術後の等速性筋力と脛骨の前方動揺性との関係について検討を行なったので報告する。
【対象と方法】対象は当院にて2003年1月から2004年4月までの間にACL再建術を施行した患者のうち,術後6ヶ月の診察時に等速性筋力と脛骨の前方動揺性を両方測定したB法14名28膝(平均年齢24.4±9.7歳)とした。等速性筋力の測定にはBIODEX system3を用いた。測定条件は,角速度60,180,300°/sで膝関節0°~90°の範囲で屈曲伸展運動を行なった。測定値は運動中の最大トルクを体重で割った値を採用した。脛骨の前方動揺性の測定については,医師による診察時にKT 1000 arthrometerで計測した大腿骨に対する脛骨の前方移動量(以下AD値)を採用した。相関関係の調査項目は,等速性筋力については,健側筋力,患側筋力,健患比とし,脛骨の前方動揺性については,健側AD値,患側AD値,AD値患健差,AD値患健比とした。統計学的処理にはピアゾンの相関係数の検定を用い,有意水準は5%とした。
【結果】それぞれについて相関関係を調べたところ角速度60°/sと300°/sにおける膝関節伸展の健側筋力と健側AD値において有意な負の相関関係が認められ,角速度180°/sについても健側AD値との間に有意ではないものの負の相関関係が認められた。その他の項目については有意な相関関係は認められなかった。
【考察】今回の結果から術後筋力と脛骨の前方動揺性との関係について,膝関節伸展の健側筋力と健側AD値との間にわずかな負の相関関係が認められた。しかし,その他については有意な相関関係は認められず,全体として術後の等速性筋力は脛骨の前方動揺性の影響をほとんど受けないことが示唆された。今後さらに術後筋力に影響を与える因子を調査,研究していきたい。

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© 2005 日本理学療法士協会
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