理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 960
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骨・関節系理学療法
中・高校剣道選手のアキレス腱傷害に対する一考察
―足趾支持面の機能から―
*貴志 真也藪下 卓也岩淵 和人貴志 太一川端 大介
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抄録
【目的】
剣道競技において下腿・足部の障害は多く、我々が第38回近畿高等学校剣道大会において行った障害調査においてもアキレス腱部に疼痛を有していた選手が15%と多く認められた。さらに剣道競技においてアキレス腱断裂は最も多い外傷のひとつと考えられる。そこで今回、その要因について床との接地面である足趾の機能について調査したところ若干の知見を得たので報告する。
【対象および方法】
年齢14~18歳の剣道選手60名(男子33名、女子27名)で、アキレス腱痛を呈したことのある群(以下P+群)32名(男子17名、女子15名)とアキレス腱痛を呈したことのない群(以下P-群)28名(男子16名、女子12名)の2群間を対象に以下の調査を行ない比較検討した。1)足部アライメント:踵骨の内・外反度(leg-heel alignment)、足アーチ(アーチ高率)2)母趾の屈曲、伸展、外転のROM-testによる柔軟性。3)ピンチメーターによる母趾の屈曲、伸展筋力の体重比。4)足趾の開排動作機能。
【結果】
1)P+群の68.8%とP-群の28.6%に足アーチ低下が認められた。踵骨内・外反度はleg-heel alignment でアーチ正常が4±5度外反、アーチ低下が17±5度外反であった。2)柔軟性は2群間で差を認めなかった。しかし、P+群の66%とP-群の40%において、右側は母趾の屈曲、左側は伸展に可動域が大きいという特性が認められた。3)筋力は2群間および左右差でも差を認めなかった。4)足趾の開排動作は、A:開排できない。B:母趾のみ開排。C:小趾のみ開排。D:5趾全て開排。の4タイプに分類され、P-群では80%がタイプD、15%がタイプB、5%がタイプAであった。P+群では80%がタイプA、4%がタイプB、8%がそれぞれタイプCとDと逆の結果であり足趾の開排動作機能においてP+群はP-群に比し劣っていた。
【考察】
剣道競技では、引き技からの踏み込み動作時にアキレス腱断裂などの傷害が左側に多く発生している。これは、構えが右足前で左足後のつま先立ちであるため、蹴り脚である左下肢のアキレス腱部に強いストレスが加わることが原因のひとつと考えられている。しかし、P+群にアーチ低下が多く存在したことから、我々はアキレス腱に強いストレスが加わるかどうかは、この腱の深層に位置し、足アーチの働きに大きく関与する足趾屈筋腱の筋力、柔軟性が関与しているのではないかと考えられた。ところが、P+群、P-群でそれらに差が認められなかったことから、傷害との関係は低いと思われる。それに対し、P+群において足趾の開排動作機能が低下していたことからアキレス腱の傷害要因のひとつとして足趾の開排動作機能が考えられる。よってその予防手段としては足趾の機能評価が重要である。
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© 2005 日本理学療法士協会
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