理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 975
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骨・関節系理学療法
大腿骨頚部骨折患者の歩行能力に関する調査
―急性期での歩行練習進行に影響する因子について―
*内田 奈々河波 恭弘仁田脇 宣男井元 香
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抄録
【はじめに】
 我々は大腿骨人工骨頭置換術施行後の急性期歩行練習進行度が最終的な歩行機能予後に影響を及ぼすことを報告した(第39回日本理学療法学術大会)。今回、更に調査を加え急性期歩行練習進行度に及ぼす因子について検討を行った。
【対象】
 2004年4月1日~10月31日までに当院に入院した大腿骨頚部骨折患者で手術療法を施行し、受傷前移動能力が室内歩行以上であり、退院時までクリニカルパスで管理を行った83例を対象とした。
【方法】
 調査は前方視的に行い、入院時に受傷前歩行能力、骨折型、年齢、痴呆の有無を評価した。術後管理はクリニカルパスで行い(予定入院日数:術後8日)、骨接合術では術翌日に、人工骨頭置換術では術後2日目に疼痛自制内での全荷重立位(歩行)を開始した。術後(3日目、5日目、転院時)に歩行距離及び患肢荷重率(%)を評価した。荷重率は平行棒内で測定し、疼痛自制内で患肢に荷重可能な最大量と体重との比率で表した。また、手術から車椅子乗車・立位・歩行開始までの日数、術後在院日数についても登録を行い、当院転院時の歩行能力との関連について各項目間で統計学的な検討を行った。統計学的な検討にはχ2検定、Mann-WhitneyのU検定、Kruskal-Wallis検定、Pearsonの相関係数を用使用し、危険率5%未満を有意とした。
【結果】
 当院転院時の歩行能力は独歩(杖使用含む)7例、歩行器27例、平行棒内46例、歩行不能3例であった。当院転院時の歩行能力が平行棒内群は、術後3日目歩行距離において歩行器群(p=0.008)と独歩群(p=0.004)それぞれと有意差を認めた。また、術後3日目荷重率において独歩群(p=0.001)と、年齢において歩行器群(p=0.002)と有意差を認めた。また、立位・歩行開始までのそれぞれの術後日数と術後3日目歩行距離(前者:r=-0.248、後者:r=-0.454)、術後3日目荷重率(前者:r=-0.444、後者:r=-0.515)との間に有意な相関を認めた。
【考察】
 今回の結果から、骨折型(安定型・不安定型)は転院時歩行能力に影響を与えず、術後3日目の歩行距離と荷重率が転院時歩行能力を左右する要因であることが示された。先行研究の結果を踏まえると、これらの要因が最終的な歩行機能予後に影響を及ぼすことが予測される。当院では術前から理学療法を開始し、臥床関連合併症の予防に努め、術後も翌日から理学療法を実施している。そのため、今後は術後3日目に至る理学療法について更なる検討を加えることが、最終的な歩行機能予後を高める可能性があると考える。
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© 2005 日本理学療法士協会
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