理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 985
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骨・関節系理学療法
Myo-Tuning Approachにより痛みが改善した1症例
*山口 僚子芹田 透大江 小百合稲田 由紀高田 治実坂本 雄菅沼 一男加藤 宗規
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抄録
【はじめに】Myo-Tuning Approach(以下MTアプローチ)は痛み、痺れ及び筋緊張を調整することにより日常生活動作(以下ADL)及び生活の質(QOL)の向上を図るとともに精神的苦痛を改善する一助とする治療法である。基本的には痛みや痺れを再現させる筋を探し、その症状を抑制するためにさらに別の部位に圧刺激を加える方法を用いる。今回我々は、2年以上にわたり痛みが持続し、更に痛みと痺れが増強した症例に対して、MTアプローチを実施した。その結果大幅な改善を得ることが出来たので考察を加え報告する。
【症例】44歳女性、診断名は腰椎椎間板ヘルニア(L4/5)。平成13年に腰痛のため退職、平成14年6月に復帰するも平成15年2月より腰痛出現し内服治療行う。平成16年4月より腰痛増強し物理療法追加。しかし、症状更に悪化し7月からは起居動作時痛や歩行時痛、下肢の痺れが増強したため理学療法開始。開始時にはADLや仕事中常に激痛が持続し、日中コルセット装着していた。起居動作で特に痛みが強く、動作緩慢で動作と共に声を上げる状態であった。また、夜間痛により一時間おきに覚醒し睡眠不足を訴えていた。
【治療内容】腰痛の主な責任筋は腰方形筋、背筋群、殿筋、梨状筋、腸腰筋などであり、抑制部位は殿筋・腹直筋・背筋群・腰方形筋などとした。また下肢の痺れの主な責任筋は前脛骨筋、長腓骨筋、大腿筋膜張筋、中殿筋などであり、抑制部位は大腿筋膜張筋、アキレス腱とした。1回の治療は20-60分、週5回、8月30日まで計20回実施した。
【評価と経過】各評価結果を理学療法開始日におけるMTアプローチ実施前後、最終日実施後の順で以下に示す。腰痛の程度はVAS(Visual Analogue Scale)にて10/10、5/10、0/10、下肢の痺れはVASにて6.5/10、2/10、0/10、姿勢動作(臥位、起居動作、洗顔、立ち上がり、歩行、階段)時の痛みはVASにて10-3(中央値10)、7-0(中央値2)、0であった。体幹関節可動域(度)は、屈曲30、45、45、伸展20、30、40、側屈(右・左)10・10、35・40、40・40、回旋(右・左)40・40、40・45、40・50であり、痛みのVAS値も減少していた。立位体前屈における指床間距離(cm)は-26.0、8.5、12.0であり、痛みのVAS値は7、3、0であった。徒手筋力計(アニマ製μTasMT-1)で測定した開始時実施前後の股筋力の変化率(右・左)は屈曲159%・58%、伸展18%・92%、外転11%・-6%であった。ホルダー筋電計ME3000P(メガエレクトロニクス社製)による開始日実施前後の等尺性最大収縮時積分値の変化率(右・左)は腹直筋34.48%・27.59%、脊柱起立筋44.54%・41.44%であった。
【考察】約1ヶ月間、増悪した症状が軽減しなかった症例に対して行ったMTアプローチにおいて明らかな改善が認められた。MTアプローチは痛みやしびれが強い部位を直接刺激せず、即時的効果も認められるため有用なアプローチであると考えられた。
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© 2005 日本理学療法士協会
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