抄録
【はじめに】1999年4月の厚生省(現厚労省)の電子カルテ推進に伴い当院では2000年8月からその準備作業を始め、県内の公立病院に先駆けて2002年3月から電子カルテを稼動した。それによりリハ部門では様々な業務の見直しを行い、リハオーダー・予約会計業務のオーダリング、リハ記録は電子化し診療録と一元化、リハ報告他各種報告書と画像・検査・薬剤の結果参照についてもすべて電子カルテ上で可能になった。
【目的】高齢者における大腿骨頸部骨折についてはクリニカルパス(以下パス)に適応させやすい事と早期リハの重要性は多くの報告とともに臨床現場ではすでに実践済みである。そこで今回電子カルテ導入がリハビリテーションの現場においてどのような効果をもたらしたかを大腿骨頸部骨折のリハの特性を考慮して検証した。
【対象と方法】大腿骨頸部骨折と診断され当院で観血的固定術が行われた電子カルテ導入前の2002年2月以前にリハを開始した151症例(男性36例女性115例平均80.30±9.74歳)と導入後の2002年3月以降にリハを開始した199症例(男性31例女性168例平均81.10±9.45歳)についてリハオーダーから術前リハまでの期間・術後全荷重開始までの期間・在院日数・および退院時Barthel Index(以下BI)について比較検討した。加えて初期評価時に実施している入院前のADL状況の聴取を基に作成した受傷前のBIについても退院時との比較を行った。なお電子カルテ導入と同時に主に全荷重開始時期についてのパス改定を行い、その後2003年8月にも再度荷重開始時期を早める改定を行っている。症例についてはすべて退院できたケースであり合併症等でリハ中断中止ならびに死亡退院は除いている。
【結果および考察】電子カルテ導入前では入院期間46.92±16.52日で導入後には35.78±16.75日となり有意に短縮され、荷重開始時期も2.13週から1.54週と実質4日程度の短縮が図れている。但しここでの1週という意味合いについては疼痛自制内ではすぐにでも全荷重許可を意味するため、実質的には1.54週は10日以内での歩行開始を意味する。また初期評価とともに行った受傷前BIと退院時BIとの変化についてはそれぞれ16%程度の低下をきたしているが、入院期間が有意に短縮したことの影響はないものと判断できる。これについては電子カルテ上に必要な情報がすべて盛り込まれているため、関連各部門の情報交換がスムーズになされチーム医療が強化されたこと、更にConference等では主に患者のADL援助や退院方針に多くの時間を割けるようになり、早期からより細やかなリハがリハ室のみならず病棟においても提供できるようになった事が関係している。
【課題】Data入力に時間がかかるという欠点を抱えている電子カルテであるが、今後もその無限に拡大していく機能を余すところなく長所として使えるよう追求していきたい。