抄録
【目的】肩拘縮に伴う夜間痛に対しての運動療法介入効果を調べることを一連の検討とし、今回は、運動療法で効果を認める肩拘縮に伴う夜間痛のタイプを特定することとした。
【方法】対象は、2002年3月から2004年3月までの外来患者で肩拘縮の改善目的で理学療法の処方が出された62例のうち、外傷、関節リウマチなどの全身性炎症疾患を除き、睡眠を妨げるレベルの夜間痛の訴えが有り、肩拘縮のレベルとして諸家の文献と筆者の臨床経験の勘から、主たる制限運動を下垂位からの外旋、結帯動作、第3肢位からの内旋(第3肢位保持不可を含む)に左右差を有する、あるいはこれらの中で複数の制限が混合しているという条件を設定し、いずれかに該当した38例とした。方法は、対象を内服・注射などの治療内容には差がないことを確認し、主たる制限が下垂位からの外旋制限群(1E群)、結帯動作制限群(1I群)、第3肢位からの内旋制限群(3I群)、混合群(MIX群)の4群に分類した。運動療法は、コッドマン体操と肩関節伸展・内転運動に内外旋を組み合わせるストレッチおよび腱板機能の再教育として上肢に牽引を加えながらの内外旋運動とした。運動療法介入効果は夜間痛の消失を認めた時点とした。通院回数は週3回であった。統計学的検討は、バートレット検定および一元配置分散分析を用い危険率5%を有意水準とし、4群間において運動療法効果に差が有るかを検証した。
【結果】1E群10例、1I群9例、3I群9例、MIX群10例であった。運動療法により夜間痛消失に要した平均通院回数は、1E群7.1±1.59回、1I群12.1±1.53回、3I群13.1±1.53回、MIX群15.0±2.26回であり、4群間において差を認めた(P<0.05)。
【考察】運動療法が効果を認めた下垂位からの外旋制限において軟部組織制限因子は、烏口上腕靱帯、関節上腕靱帯(上部)、関節包前方(上部)、肩甲下筋(上部)、大胸筋(鎖骨部)の伸張性の低下である。今回実施した運動療法は、それらに対しての伸張性の再獲得方法になっていたと考えられる。林(2004)が述べている夜間痛に対する運動療法は上方支持組織の拘縮を呈する症例においてかなり有効であるとの報告を裏付ける結果であった。本来関節拘縮に対する運動療法は、病態把握を行い制限因子に対して実施されるべきものである。その点からすると本研究は、臨床経験からの勘で研究を行った感も歪めないこと、運動療法の内容は同じだが実施した理学療法士の技術差は同じではないことの2点に課題が残る。しかし臨床的には、夜間痛の発症メカニズムは不明であることから運動療法の介入効果を追求する一考になると考える。
【結論】本研究において運動療法の介入によって夜間痛が消失したのは、1E群であった。