抄録
【はじめに】一般に椎体椎間板炎を呈した患者は発熱、激しい背部痛を伴い、治療は抗生剤投与、安静臥床、手術療法となり入院も長期になりやすい。安静臥床のため、筋力低下、患者にかかる心的ストレスは大きいと思われる。炎症の再燃など理学療法も難渋することが多く、理学療法開始時期、運動負荷量などに困っているのが現状である。今回、当院における椎体椎間板炎患者の理学療法の現状について調査したので報告する。
【方法】H15年3月~H16年11月までに当院で椎体椎間板炎の患者の中で理学療法を施行した17例を対象とした。調査期間は入院時から退院時までとした。平均年齢は64.8±13.1歳、男性12例、女性5例であった。診療記録から在院日数、理学療法経過、各時期の炎症反応(CRP、白血球数、赤沈値)、炎症の再燃の有無、退院時転帰を調査した。
【結果】平均在院日数は100.3±90.6日であった。17例のうち手術療法(椎弓切除術、洗浄)を施行した患者は2例であった。炎症反応の平均は、リハビリテーション室での開始時は白血球数5518±1303/μl、CRP1.4±1.3 mg/dl、赤沈1時間値76.2±27.0mm、赤沈2時間値107.8±22.4mm、退院時は白血球数5105±1417/μl、CRP0.4±0.4 mg/dl、赤沈1時間値45.5±19.7mm、赤沈2時間値77.7±23.1mmであった。発症後明らかな下肢麻痺がみられた症例は1例であった。リハビリ開始後に炎症症状が再燃した患者は17例中5例であった。理学療法施行中で疼痛を強く訴える姿勢は座位姿勢であった。入院前機能は、16例は独歩またはT字杖歩行レベル、車椅子レベル1例であり、退院時転帰は17例中14例が独歩またはT字杖歩行にて退院、ロフストランド杖歩行が1例、車椅子での退院が2例であった。
【考察】理学療法開始後に炎症反応が再燃したのは5例であったが、再燃前に抗生剤を中止または点滴から内服に変更した症例や肺炎などの他の疾患の炎症症状が再燃した症例があり、今回の調査からは理学療法で炎症が再燃したかどうかは不明である。理学療法を施行上で座位姿勢が最も疼痛を訴える患者が多く、立位、歩行よりも座位獲得が後になる患者がいた。座位は立位よりも椎体、椎間板にかかる圧が高いために理学療法施行する上でも椎体、椎間板に負荷がかからないように考慮する必要がある。また、椎体椎間板炎の理学療法経過の中で炎症所見を反映する血液データは随時みていかなければならない所見である。今後は、退院後の経過も含め椎体椎間板炎が筋力(腸腰筋など)、関節可動域(腰椎、股関節)などの身体機能面に与える影響も調査もしていきたいと考えている。