理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 1019
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骨・関節系理学療法
競泳強化合宿における理学療法士の関わり
*猪股 伸晃坂本 雅昭中澤 理恵中川 和昌小茂田 猛
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キーワード: 競泳, 合宿, 帯同報告
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抄録
【はじめに】
競泳における障害はいわゆる使い過ぎ症候群が中心となるため,トレーニング量の急激な増加に伴い多くなる.今回,短期間に集中的にトレーニングを実施する強化合宿に帯同し,理学療法士(以下PT)として障害発生の予防および悪化防止を目的に支援活動をする機会を得たのでここに報告する.
【合宿の概要】
本合宿は平成16年5月1日から9日までの9日間,県営水泳場にて開催された.本合宿はシーズン前の身体作りを目的とし,泳ぎこみを中心にトレーニング内容が計画された.なお,PT帯同期間は5月1日から5日までであった.
参加選手は県水泳連盟により選抜された中学生,高校生,大学生合わせて22名であり,男性11名(16.4±1.1歳),女性11名(15.2±2.4歳),競技レベルは20名が全国大会,2名が関東大会出場レベルであった.
【活動内容】
合宿初日に事前指導として,競泳選手に必要と考えられるストレッチング15項目と,トレーニング後の炎症症状の軽減を目的としたアイシング方法について,資料を配布し指導を行った.指導したストレッチングの実施状況は後に10点満点の自己採点を基に確認した.また事前アンケート調査にて選手の体調を確認し,その内容を体調管理ノート(以下ノート)に記載した.そのノートを用いて午前・午後に実施される各トレーニング後の障害の有無,状態を確認した.さらにノートもしくは担当コーチを通じて相談があった場合に必要と考えられる指導を行った.
【結果】
水泳トレーニング距離の合計は101153±24622mであり,PT帯同期間中のストレッチング実施状況の自己採点結果は平均7.43±1.7点であった.障害が発生した選手は20名(91.0%)であり,障害部位の内訳は上肢・肩甲帯が17名(77.3%),下肢が10名(45.5%),体幹・腰部が8名(36.7%)であった.また,既往症の再発は8名(12件)であった.
 トレーニング後,障害部位のアイシングを施行した件数は,上肢・肩甲帯が32件,下肢が16件,体幹・腰部が15件であり,合計63件であった.アイシングの他に直接的な対応を要したものは5件であり,疲労回復を目的としたストレッチングが4件,マッサージが1件であった.
 PT帯同期間中に障害発生および症状悪化を理由に合宿を中止した者はいなかった.
【考察】
 本合宿ではトレーニング前後のストレッチングやアイシングを施行しながらも,参加人数の90.0%以上と高率に障害発生が認められた.自己採点の結果からストレッチングの実際の効果を推測するのではなく,実施状況を直接評価し再指導することで障害発生を防止できたかもしれない.一部にはトレーニング内容を調整している選手もいたが,PTとしては,個々の選手の状況を把握した上で担当コーチと相談しトレーニング内容の変更を示唆することも障害悪化防止の1つの対応として重要であると考えられた.
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© 2005 日本理学療法士協会
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