抄録
【はじめに】呼吸リハビリテーションを施行する症例におき身体障害を伴うものが多く、活動制限に伴う運動機能低下ひいては呼吸機能低下が確認される。僻地中核病院にて呼吸リハビリテーションを導入したが当グループ井上医師の内科外来を受診患者平均年齢68.8歳慢性呼吸呼吸器疾患患者73.3歳呼吸器リハビリテーション指導患者76.2歳身体障害率失明18.2%重度聴覚障害27.3%と対象の多くが高齢でありかつ身体障害を持つものであった。聴覚障害者に関しては視覚教材を用いた指導が可能であり比較的指導が容易ではあるものの視覚障害を持つ症例に対しては障害が大きくまた鬱指標も高く機能低下を伴っているものが多い。実際の施行経験にもとづき視覚障害を伴う症例における指導方法を報告する。
【症例】81歳男性 主病名:結核後遺症・肺気腫(在宅酸素療法1l/1.5l)現病歴 :狭心症・両眼白内障・緑内障(光覚弁)・前立腺肥大既往歴:23歳時結核感染5年間の療養所生活KeyPerson:妻(介護者2人暮らし)呼吸機能:FEV1.0=0.68lVC=1.14l
【経過】23歳よりの結核後遺症にて運動制限を指導され、デスクワークのみ許可されていた。失明に伴うADLの低下に伴う呼吸機能のさらなる低下を示し、前医よりの余命告知・安静指示されることにより、在宅酸素療法を導入され酸素化能は改善したもののさらなる機能低下と心理的要因も加味されたパニックに伴う呼吸促迫と易感染性をきたし入退院を繰り返えされていた。呼吸内科医赴任の後、教育、運動療法指導、高脂肪高カロリー食、呼吸法を取り入れた摂食指導にて4年間入院治療なく経過される。
【施行方法】1、呼吸筋ストレッチ体操(本間ら)、下肢筋トレーニング:椅子からの立ち上がり・大腿四頭筋訓練・中臀筋訓練(セラバンド使用):全20分間の自作のビデオを使用、妻と自宅で見ながら基本運動を行えるようにした。3ヶ月の経過にて内容を暗記される。 2、歩行(万歩計支給)自宅玄関に全長20mの手すりを設置一日20分間を2回施行 3、PEP指導 4、達成率表使用にて在宅での運動状況管理を行い達成率低下症例には再指導を行う。
【考察】1、運動療法指導時間、内容ともにKey personの協力により他の高齢者と変わらぬ指導が可能であった。 2、下肢筋力トレーニング、歩行に関し自宅の改装が必要であった。 3、患者のADL、QOLを改善するには自宅内状況の確認が必要であった。 4、視覚障害患者の在宅指導に関しては自宅内状況確認のうえ行動、運動可能範囲の制定および環境改善が必要であるが、長年の生活により環境の認知を得ているため急激な変化かえってADLの低下を招くため患者、家族の認知の上低下してゆく機能に応じて段階的に環境整備を行う必要性が確認された。