理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 589
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内部障害系理学療法
急性心筋梗塞患者における臨床的背景の経時的推移についての検討
*西山 昌秀井澤 和大渡辺 敏大宮 一人長田 尚彦
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抄録
【背景】虚血性心疾患の急増は,先進国に多くみられる傾向である.本邦では死亡原因の2位を心疾患が占めている.これは虚血性心疾患の原因となる糖尿病,高血圧,高脂血症などの生活習慣病の急速な増加や肥満や喫煙,運動不足,ストレスなどによる動脈硬化の進行が一要因とされている.生活習慣病の増加が問われる中で, 理学療法場面においても虚血性心疾患に合併した症例に直面する機会が非常に多くなってきた.加えて高齢化社会の到来により,対象疾患の高齢化も増加している可能性がある.
【目的】急性心筋梗塞(AMI)患者を対象とし,年齢・性別および合併症の経過時的推移を調査することで,理学療法施行に際しての基礎的情報を得ることである.
【方法】1.対象
1995,1999,2003年度の3時期においてS病院リハビリテーション部に依頼があった371例を対象とした.
2. 患者の病態に関する情報
診療記録より年齢,性別,合併症(脳血管障害,整形外科疾患,糖尿病)について調査した.年齢は65歳未満(若年者),64~74歳(前期高齢者),75歳以上(後期高齢者)の年齢層に層別した.
3.分析:各年度別の総数に対する各因子の割合を算出した.
【結果】1.対象者数 年齢・性別に関しては,371例中全例の調査が可能であった.合併症に関しては,1995年度122例中4例,1999年度116例中1例,2003年度133例中4例の合計9例について診療記録で調査できず対象から除外した.従って,合併症に関する最終対象者は371例中362例(97.6%)であった.
2.年齢・性別の推移
若年者,前期高齢者,後期高齢者の総数に対する割合(%)は1995年度が45.1,36.9,18.0,1999年度が51.7,31.9,16.4,2003年度が45.8,28.6,25.6であった.性別の総数に対する割合(%)は,男性・女性の順に 1995年度が73.8,26.2,1999年度が76.5,23.5,2003年度が74.3,25.3であった.
3.合併症の推移
糖尿病の総数に対する割合(%)は1995,1999,2003年度の順に18.2,27.0,40.8であった.整形外科疾患は20.0,15.7,24.6,脳血管障害は6.6,12.2,13.8であった.
【考察および結論】年齢に関しては後期高齢者が1999年度から2003年度にかけて7.6%増加した. また合併例は総じて1995年から2003年にかけて徐々に増加し,特に糖尿病は1995年度から2003年度にかけ約2倍と急増する傾向にあった.以上より理学療法士が関わる疾患像は今後高齢化とともに多岐にわたること,また既存の心臓リハプログラム遂行不可能例も増加することなどが予測されるため,臨床的背景の詳細な分析をとおして臨床に即応していく体制が必要になるものと考えられる.
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© 2005 日本理学療法士協会
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