理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 599
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内部障害系理学療法
慢性閉塞性肺疾患患者の3種類の運動負荷試験における呼吸困難感に関する検討
*佐竹 將宏塩谷 隆信高橋 仁美菅原 慶勇笠井 千景清川 憲孝渡邊 暢藤井 清佳河谷 正仁
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抄録
【はじめに】
 慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者が運動を継続する上で,呼吸困難感は重要な要素である。効果的な運動処方内容として,現在,高負荷が多くの研究者から提唱されているが,臨床上,強い呼吸困難感を維持したまま運動を継続することは難しい。また,日常で運動を継続するためには,患者が自覚する呼吸困難感は重要な指標になる。そこで,我々は,3種類の運動負荷試験中における呼吸困難感を測定し,酸素摂取量と呼吸困難感との相関関係を調べ,COPD患者への運動処方の一助とするために検討を行った。
【方法】
 対象は,男性COPD患者11名(年齢72±6歳,1秒量1.32±0.62L,%1秒量51.5±22.0%)であった。運動負荷試験として,自転車エルゴメータテスト(CET),6分間歩行テスト(6MWT),シャトル歩行テスト(SWT)の3種類を行った。CETは50RPMにて0wattから1分ごとに10wattsずつ負荷を増した。6MWTは1周88mの院内廊下を使い,1分ごとに残り時間を知らせた。SWTはSinghらの方法に準じ,録音された音に合わせて1分ごとに歩行速度を速め,患者の訴えや歩行速度を維持できなくなったときに終了した。6MWTとISWTは2回行い,長く歩いた方を採用した。すべての運動負荷試験において,呼気ガス分析,心拍数,経皮的酸素飽和度,呼吸困難感を測定した。呼気ガス分析には,携帯型呼気ガス分析装置(MetaMax 3B,コルテックス社製)を用い,分時換気量,酸素摂取量,二酸化炭素排出量を求めた。呼吸困難感は10段階の修正ボルグスケールで評価し,経皮的酸素飽和度とともに1分ごとに記録した。
【結果】
 CETでの最大負荷量は81.8±29.6 wattsであった。最大歩行距離は6MWTで497.8±93.9 m,ISWTで376.4±153.1 mであった。最大酸素摂取量はCETで14.3±3.5 ml/min/kg,6MWTで14.6±2.2 ml/min/kg,ISWTで16.3±4.2 ml/min/kgであった。経時的な最大酸素摂取量に対する酸素摂取量の割合(x)と呼吸困難感(y)との関係は,CETで y = 0.0004x2 + 0.0367x - 0.6899,R2 = 0.5432(p<0.001)であり,6MWTで y = -0.0003x2 + 0.0864x - 1.2447,R2 = 0.297(p>0.05)であり,SWTで y = 0.0005x2 - 0.0052x + 0.2704,R2 = 0.6284(p<0.001)であり,6MWTのみ有意差がでなかった。
【考察】
 我々は,6MWTでは,患者は歩行開始直後から最大速度で歩いており,酸素摂取量も約2分で最大値に近くなることを報告している。6MWTにおいて,呼吸困難感は歩行時間とともに高くなっていくため,酸素摂取量と呼吸困難感とは有意に相関しなかったものと考えられる。一方でSWTやCETは,負荷量が時間的に増加していくため,酸素摂取量と呼吸困難感との相関関係が高くなったものと考えられる。以上から,6MWTから得られた呼吸困難感は,SWTやCETにおけるものと異なり,運動処方時には留意する必要があることが示唆された。
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© 2005 日本理学療法士協会
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