抄録
【目的】当センターにて外来呼吸リハビリテーションを行っているCOPD患者の運動処方の負荷量決定は低負荷(V(dot)O2maxの40~60%)から開始し徐々に高負荷(V(dot)O2maxの60~80%)へと移行する設定としている。しかし運動療法開始前にどの程度の負荷量が可能であるかを予測する事は困難なため、適切な負荷量設定に時間がかかってしまうのが現状である。そこで負荷量決定にどのような因子が影響しているかを確認するため両群を比較検討したので、報告したい。
【対象および方法】当センターにて外来呼吸リハビリテーションを実施しているCOPD患者31名(男性26名:女性5名)について年齢、呼吸困難感の指標としてBDI、HOT使用流量、運動耐容能の指標として6MWD(距離・歩行後のSpO2)、HRQOLの指標としてSGRQ(Total)、肺機能、下肢筋力計(アニマ社製μTasMF-01)を使用し両側大腿四頭筋・ハムストリングスの筋力測定、体成分分析機(Bio space社製InBody3.2)を使用し体重・BMI・骨格筋率・体脂肪率・四肢(両側上肢、両側下肢)、体幹の筋肉量について評価した。
【結果】高負荷群21例、低負荷群10例において6MWD後のSpO2、体重、BMI、体脂肪率、骨格筋率、四肢・体幹筋肉量に有意差は認められなかった。年齢(高負荷群71.5±6.9:低負荷群76.9±4.8歳、以下同様)、BDI(7.1±0.8:3.5±0.8)、HOT使用流量(0.6±1:1.5±0.7L)、6MWD(408±73:207±88m)、SGRQ(38.8±13.6:55.9±13.2点)、右側大腿四頭筋力体重比(42.1±11.2:32.9±8.6%)、左側大腿四頭筋力体重比(36.6±10.5:27.5±7%)、右側ハムストリングス筋力体重比(30.3±8.5:23.5±4.6%)左側ハムストリングス筋力体重比(27.8±8.8:21.2±4.1%)に有意差を認めた。
【考察】運動負荷においてはCasaburiらが推奨する高負荷と、Normandinらの低負荷でも改善効果に差がないとする報告があり、明確なコンセンサスは得られてはいない。しかし運動負荷決定に関しては呼吸管理学会の呼吸リハビリテーションガイドラインにて、負荷決定の要因としてモチベーション、呼吸困難感、肺性心などの合併症、後期高齢者を挙げている。今回の研究では、これらに加えて酸素療法処方量、大腿四頭筋・ハムストリングスの下肢筋力、運動耐容能、HRQOLも負荷量決定の一因子として挙げることができた。このような因子を踏まえた上での患者個別の適切な負荷量決定は、今後さらにEvidenceの高いアプローチを提供するためにも重要であると思われた。