抄録
【目的】
近年、2型呼吸不全患者に対しては非侵襲的陽圧換気療法(以下NIPPV)が普及、定着しつつあるが、それに限定した呼吸リハビリテーションの報告は少なく、臨床においても呼吸筋障害などによりADL、QOLの向上が阻害されることがある。今回当院における2型呼吸不全患者に対する呼吸リハビリテーションについて検討を加えたので報告する。
【対象、方法】
1.2003年9月から2004年9月まで当院入院した2型呼吸不全患者で呼吸リハビリテーションの処方された49例(平均年齢74.97±8.6、男性24名、女性25名)を対象とした。状態悪化でリハ中止した症例、寝たきり症例は除外した。リハビリテーション前後の肺機能、血液ガス、6分間歩行距離、Hugh-Jhones分類,ADL(千住のスコア)を診療記録から後方視的に調査した。2.上記症例中NIPPV併用群と非併用群に分類し、リハ終了時の同項目の値に入院期間と転帰を追加し比較検討した。統計学的検討はPairedT-Test.Mann-Whitney Tsetを用い有意水準は5%とした。呼吸リハビリテーションプログラムとしては、1)上下肢トレーニング2)呼吸訓練3)呼吸筋トレーニング4)呼吸筋ストレッチ4)ADL指導5)運動指導 などを行なった。
【結果】
1.肺機能、血液ガスに変化はなく、6分間歩行距離、ADLスコア、Hugh-Jhones分類は有位に上昇した。(P<0.05) 2.NIPPV併用群では、6分間歩行距離、ADLスコア、Hugh-Jhones分類が高値を示した(P<0.05)。統計的には有意差がみられなかったが、血液ガスではPaCO2値が低下し、入院期間が短縮し自宅退院者も多い傾向がみられた。
【考察】
近藤らは高炭酸ガス血症では高い換気を維持するが、肺疾患ため高換気が得られずこのような慢性的な負荷による呼吸筋障害が報告されている。慢性呼吸不全患者は呼吸筋が肥大、萎縮しており、1型筋線維中心部の変性部位(セントラルコア変化)ではミトコンドリアの減少と酵素活性の低下が認められる。NIPPVは疲労した呼吸筋の負担軽減や呼吸調節の再設定などで血液ガス・肺機能の改善を目的としている。今回の報告で、2型呼吸不全患者における呼吸リハビリテーションの効果として運動耐容能、ADLの向上や呼吸困難感の軽減が認められた。また、NIPPVを併用することで呼吸リハビリテーションをより効果的に遂行できる可能性も示唆された。在宅での継続的なフォロー体制も長期的効果を継続させるには必要である。我々理学療法士は、呼吸リハビリテーション遂行時に経皮的酸素飽和度(SpO2)をリスク管理やプログラム進行の目安とすることが多いが、PaCO2値を含めた血液ガスのデーターもより理解し注視する必要性がある。