理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 604
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内部障害系理学療法
肺癌摘出患者に対する理学療法介入効果
*長谷川 信臼田 滋町田 泉伊東 有紀子千木良 佑介谷 しのぶ白倉 賢二
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抄録
【目的】肺癌摘出は開胸術にて行われ,術後疼痛や肺切除により肺合併症の問題が生じる。本研究の目的は,肺癌摘出患者の理学療法の介入効果を検討することである。
【対象および方法】対象は,2000年1月から2003年9月までに開胸術にてリンパ郭清を含む肺癌摘出術を施行した症例85例とした。なお,術前後に併存疾患の治療や化学療法や放射線療法で入院治療が必要な症例は除外した。理学療法の介入がなかった2000年1月から2002年6月までの32例(非介入群:平均年齢64.9±11.6歳,男性18例,女性14例)と介入があった2002年7月から2003年9月までの53例(介入群:平均年齢68.0±7.0歳,男性30例,女性23例)の2群に分けた。理学療法として,術前より呼吸法や排痰について指導した。術後には徒手にて術創保護下で呼吸介助,呼吸練習を施行し,翌日より胸郭可動域練習と全身状態を注意した上で積極的な離床を促した。また,退院に向けて日常生活指導や自主トレーニングの指導を行った。比較項目として,2群についての術後在院期間,術後肺炎,術後無気肺,術後人工呼吸器管理,術後肺合併症に対しての気管支鏡施行を調査した。統計学的検討は,術後在院期間についてはt検定を用い,術後肺炎,術後人工呼吸管理,術後の気管支鏡施行についてはカイ2乗検定を用いて比較した。なお,危険率5%未満を有意水準とした。
【結果および考察】術前の対象者の背景として努力性肺活量(非介入群2935.9±689.8ml;介入群2977.0±644.3ml),%努力性肺活量(非介入群102.2±16.0%;介入群105.8±15.2%),1秒量(非介入群2195.0±707.5ml;介入群2256.0±485.8ml),1秒率(非介入群78.2±10.6%;介入群77.8±10.3%),喫煙歴(非介入群21例;介入群28例),術前の肺合併症(非介入群COPD1例,喘息1例;介入群COPD3例,間質性肺炎3例,喘息2例)において 2群間での有意差は認められなかった。術後在院期間については,非介入群11.9±3.2日,介入群7.6±2.6日で有意に短縮(p<.0001)することができた。また,術後肺炎では,非介入群3例,介入群0例で有意に低下(p<.05)させることができた。一方,術後無気肺では,非介入群1例,介入群1例,術後人工呼吸器管理では,非介入群2例,介入群0例,術後の気管支鏡施行では,非介入群2例,介入群0例で有意差を認められなかった。以上より,術前後の理学療法介入により,早期離床,術後肺炎の予防ができ,術後在院期間を短縮することができたと考えられた。
【結論】肺癌摘出患者において理学療法介入により,術後在院期間の短縮,術後肺炎の減少が示唆された。
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© 2005 日本理学療法士協会
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