理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 607
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内部障害系理学療法
がん専門医療機関における理学療法士の関わり
*石井 健岡山 太郎増田 芳之辻 哲也
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抄録
【はじめに】本院は、平成14年9月に開院、国内の高度がん専門医療機関として、診療科としてリハビリテーション(以下リハ)科を有する本邦初のがんセンターである。今回、我々は開院から約2年間の理学療法内容を分析し、がん専門医療機関の中で理学療法士がどのような関わりをしているかを検討した。
【施設紹介】本院は現在、36の診療科、ベッド数465床(全床開床時615床)で12病棟(緩和ケア病棟2棟を含む)にて運営されている。リハ科スタッフはリハ専門医1名、理学療法士3名、作業療法士2名、言語聴覚士1名からなる。理学療法は各科の担当医からリハ科へ依頼が出され、リハ科医師が診察し、理学療法処方が出されることにより開始となる。
【対象と方法】平成14年9月から平成16年4月までの20ヶ月間に、当院で理学療法を実施した患者の依頼元診療科、理学療法内容などを電子カルテから後方視的に分析した。
【結果】開院から20ヶ月間に理学療法を実施した新患患者数は、2285名であった。依頼元は26の診療科であり、乳腺外科496名(22%)、呼吸器外科398名(17%)、整形外科298名(13%)、胃外科150名(7%)、食道外科105名(6%)と続き、緩和医療科からも82名(4%)の依頼があった。実施内容では、開胸・開腹術に対する周術期呼吸理学療法が736件(31%)と最も多く、次いで乳がん術後・腋窩リンパ節郭清後の肩関節拘縮に関するものが481件(20%)、全身体力消耗、廃用症候群に対する依頼が235件(10%)、骨軟部腫瘍・骨転移による四肢切断、麻痺に対する内容が183件(8%)、脳腫瘍に対する理学療法が110件(5%)、血液幹細胞移植に対する理学療法が82件(4%)、緩和ケアに対するもの65件(3%)などであった。
【考察】開院から2年間、月平均100名以上の患者が、ほぼすべての診療科から依頼されていることから、がん専門医療機関においても一般的な医療機関と同様に、理学療法の必要性が大きいことが明らかになった。依頼科と実施内容について検討してみると、肺がん、食道がん、乳がん、骨軟部腫瘍などの周術期理学療法が最も多く依頼・実施されていたが、一方で消化器内科や血液幹細胞移植科による化学療法や放射線療法中・療法後の廃用症候群、全身体力消耗状態に対する依頼もかなり多くあり、術後の合併症や後遺症の予防・改善に対する理学療法だけでなく、内科的治療に伴う対応も重要であることが示唆された。また、緩和ケア病棟においても大きな役割があることがわかった。本院は患者の視点に立った医療、社会復帰を目指すことを大目標にしており、医療スタッフのリハに対する意識が高いこと、開院準備の段階で各診療科へリハの啓蒙を行ってきたことが、良い効果を生んでいる原因と考えられた。
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© 2005 日本理学療法士協会
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