抄録
【目的】慢性閉塞性肺疾患(以下COPD)患者は、安静時の基礎エネルギー代謝(以下REE)が予測REEの1.5~1.7倍程高く、健常者と比較した場合は約10倍高いといわれている。そのため、COPD患者の身体所見は痩せの体型を示す傾向が高い。
今回、COPDの重症度別に分類し、携帯性に優れた多周波数インピーダンス法計測器(積水化学社製MLT-30)を用い、COPD患者の身体組成を多施設で測定した。
【方法】対象は状態の安定したCOPD患者58例(男性47例、女性11例)、平均年齢は72.1±7.7歳であった。COPDの重症度はGOLDのガイドラインに基づき分類した。0度9例、I度9例、II度12例、III度16例、IV度8例であった。評価は身体計測とし体重、%標準体重(%IBW)、BMI。血液生化学の項目とし総蛋白(TP)、血清アルブミン(Alb)。身体組成項目とし体脂肪率(%FAT)、脂肪重量(FAT)、除脂肪重量(FFM)を評価した。
【結果】
重症度 0 1 2 3 4
体重(kg) 61.4±8.3* 60.1±8.0* 55.1±12.8 50.0±13.2* 45.7±7.0
%IBW(%) 105.0±11.3* 105.7±15.2* 97.8±17.6* 92.7±17.6 79.2±9.1
BMI(kg/m2)23.1±2.5** 23.2±3.3** 19.9±3.4 19.9±3.2 17.4±1.4
TP(g/dl) 6.9±0.4 6.6±0.5 6.8±0.4 6.4±0.6 6.5±0.2
Alb(g/dl) 3.5±0.1 3.7±0.4 3.6±0.5 3.4±0.5 3.8±0.7
%FAT(%) 28.2±8.2* 28.7±7.6* 24.3±10* 24.3±6.6* 15.1±2.0
FAT(kg) 17.7±6.8* 17.6±6.5* 13.0±6.9* 13.0±5.6* 7.2±1.2
FFM(kg) 43.7±5.3 42.5±4.4 39.0±8.5 39.0±8.0 38.1±1.8
*:IV度と比較p<0.05 **:IIIおよびIV度と比較p<0.05
【考察】体重、%IBW、BMI、%FAT、FATは重症化に伴い有意に減少し、重症度の高い症例ほど低体重となる傾向が示された。一方、生化学の結果は重症度に関係なく低値を示し、COPD患者は重症化に関わらず慢性的な低栄養状態にあることが推察された。身体組成は最重症でFAT、%FATが有意に低下したが、FFMに有意差は認められなかった。以上から、最重症では筋量以上に、脂肪の低下する割合が有意に高いと示され、最重症では運動療法以上に栄養管理が重要になると思われた。