抄録
【目的】
BODE indexは、BMI、%1秒量、MMRCスケール、6分間歩行距離(6MWT)の4つの因子により、COPDを全身的な疾患としてとらえ、重症度分類する指標である。この指標は本邦でも適応が可能であり、予後を判断するうえで有用であると報告されている。今回、このBODE indexによりCOPD患者を重症度別に分類し、各群における当院呼吸リハビリテーションプログラムの効果を比較検討した。
【対象と方法】
対象は、当院で3ヶ月以上呼吸リハを施行した安定期COPD患者66例である。呼吸リハ施行前の成績をもとにBODE indexにしたがってquartile1から4までの4群に分類した。各群において、呼吸リハ施行前後での呼吸機能、呼吸筋力、6MWT、6MWT後のBorg scale、健康に関連したQOLの指標としてChronic Respiratory Disease Questionnaire(CRQ)を使用して、それらの各測定値を比較検討した。当院の呼吸リハプログラムは、腹式・口すぼめ呼吸、呼吸筋の筋力強化、上肢筋・下肢筋の筋力強化、呼吸筋のストレッチ体操、歩行練習といった運動療法を主体としており、毎日在宅で行えるよう低負荷に設定している。2週間毎の外来では理学療法士が呼吸介助とプログラム施行状況の確認および再指導を行い、他職種による呼吸教室は月に1度開催している。
【結果】
quartile1が9例、quartile2が15例、quartile3が28例、quartile4が14例であった。呼吸機能について、FVCと%VCがquartile2とquartile3で有意に改善し、RV/TLCがquartile3で有意に減少した。呼吸筋力は、PImaxがquartile1で有意に改善し、PEmaxは4群すべてで有意に改善した。6MWTはquartile4で有意に改善した。CRQは、スコア全体としてquartile1・2・3が有意に改善しており、各項目別には、Dyspneaがquartile1・3、Fatigueがquartile1、Emotional functionがquartile2・3、Masteryがquartile1・2・3でそれぞれ有意に改善していた。
【考察】
当院で行っている呼吸リハプログラムの特徴として、低負荷で高頻度、患者教育も重視していることが挙げられる。今回の結果から、4群間において有意な改善が認められた評価項目に多少の相違はあったが、当院の呼吸リハプログラムはBODE indexで分類された全ての群に効果的であり、適応になると考えられた。
【まとめ】
BODE indexによる重症度は、呼吸リハプログラムの有効性の予測指標とはならない。