抄録
【目的】
当院リハビリテーション科では,外来型包括的呼吸リハビリテーションを平成10年より実施し効果をあげている.今回昨年8月に出された呼吸リハビリテーションマニュアルの中で「運動療法の下肢による全身持久力トレーニングがもっとも推奨される」という文章を根拠に浮力・水圧・抵抗の影響を利用しての水中歩行訓練を行った.地上の成績と比較・検討したので報告する.
【対象・方法】
対象患者は当院で呼吸リハビリテーションを行っている男性2名と,開業医院で呼吸リハビリテーションの指導を受けている男性1名.いずれもCOPD患者,計3名である.COPD病期分類でII期1名,III期2名であった.方法は6月から8月までの3ヶ月間,週1回水曜日に町立温泉プールの歩行用プール,1週80m,水深1mを自分のペースで10周歩くことを目的とし,携帯酸素ボンベを小型ゴムボートに乗せ,それを押し歩行を実施した.酸素飽和度80%までの低下,またはボルグスケール5.0で中止とした.下肢周径・肺機能検査・血液ガス分析にて測定・評価した.
【結果・考察】
下肢周径には著名な変化は認められなかったが,地上での歩行距離は改善していた.また週2回自転車エルゴメーターなどで訓練している患者2名に対しては,地上での運動で呼吸困難感を訴える酸素飽和度数値であるにも関わらず,水中歩行時ではそれを下回る数値でもボルグスケールでは低い値を示していた.呼吸器疾患(COPD)での下肢運動療法としては水中歩行訓練の有効性を示唆していると考える.