理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 686
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内部障害系理学療法
胸部・胸腹部人工血管置換術後リハビリテーションにおける訓練阻害因子の検討
―早期退院例と遅延例との比較より―
*齋藤 慎也, 中村 重敏, 松岡 文三, 森島 優, 伊藤 倫之, 山内 克哉, 美津島 隆
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抄録
【はじめに】胸部・胸腹部人工血管置換術後のリハビリテーションにおける訓練阻害因子を明らかにする目的で、早期退院例と退院遅延・転院例の訓練経過を比較検討した。
【対象】平成15年4月から平成16年8月の間に、当院心臓血管外科において胸部・胸腹部人工血管置換術を施行され、退院・転院に至った66例中、理学療法(以下、PT)を実施した25例(男12例、女13例)を対象とした。術後40日以内に退院に至ったものを早期群(男2例、女5例。平均年齢72.0±7.3歳)、術後40日以上在院もしくは転院となったものを遅延群(男10例、女8例。平均年齢67.2±13.0歳)とした。
【方法】疾患内訳、手術内容、ICU在室期間、術後PT開始時期、離床時期、歩行自立時期、PT開始時および退院時における心拍数、不整脈の有無、CRP値、Barthel index合計得点(以下、BI)、術後合併症について、両群間で比較検討した。
【結果】疾患内訳は、早期群では、胸部大動脈瘤3例、胸部大動脈解離4例、遅延群では、胸部大動脈瘤5例、胸部大動脈解離5例、胸部大動脈瘤破裂2例、胸腹部大動脈瘤5例、大動脈炎症候群1例であった。手術内容は、早期群では、上行大動脈置換術2例、上行~弓部大動脈置換術2例、弓部大動脈置換術2例、下行大動脈置換術1例、遅延群では、上行大動脈置換術3例、上行~弓部大動脈置換術3例、上行~下行大動脈置換術1例、弓部大動脈置換術5例、胸腹部大動脈置換術6例であった。ICU在室期間(5.9日vs12.1日)、術後PT開始時期(8.3日vs12.9日)、離床時期(8.3日vs17.5日)、歩行自立時期(12.1日vs34.5日)については、早期群が有意に早かった。心拍数、CRP値は、PT開始時、終了時とも両群間で差はなく、重篤な不整脈の出現もみられなかった。BIは、PT開始時、終了時とも、早期群で有意に高かった。合併症は、早期群では特に問題となったものはなかったが、遅延群では呼吸不全8例、不全対麻痺6例、腎不全4例、脳血管疾患3例、肝不全1例と多岐にわたっていた。
【考察】当院では術後全例ICUに入室しているが、遅延群では術後合併症のためにICU在室期間が延長していた。そのため長期臥床が余儀なくされ、廃用が生じ、離床時期、歩行自立時期が遅延したと考えられる。術後合併症については、胸水貯留に伴う呼吸不全や、肋間動脈再建時や体外循環を用いた際に、脊髄や脳の虚血のために運動麻痺や臓器不全等が生じることがあるが、重症度は症例により様々である。手術の侵襲性が高いため、合併症をいかに抑えるかと同時に、いち早く合併症に対するリハビリテーションを行うことが重要である。今回の結果より、人工血管置換術後のリハビリテーションにおける訓練を阻害する因子としては、術後合併症と臥床による廃用が主要なものであることが示唆された。
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© 2005 日本理学療法士協会
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