理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 685
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内部障害系理学療法
複合的理学療法の効果
*上田 亨, 黒木 ゆかり, 森 祐介, 小川 佳宏
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抄録
【はじめに】リンパ浮腫に対する治療は以前からいろいろな方法が試行されてきたが、現時点では複合的理学療法(以下、CPT)を永続的に行うことが最良とされている。CPT は入院期と外来期の2つの相と用手リンパドレナージ、圧迫、圧迫下での運動、スキンケアの4つの治療からなっており、当院でもある一定の効果を得ている。そこで今回、当院における入院治療プログラムを紹介し、最大腫脹率及び浮腫減退率からみたCPTの効果について報告する。
【対象】平成16年1月から10月までに当院に入院しCPTを施行した下肢片側性リンパ浮腫患者24名を対象とした。その内訳は全例が女性で、年齢は39歳から79歳までの平均年齢64.3歳であった。全例が続発性で、右下肢11名、左下肢13名であった。また治療期間は1.5週から8週までの平均3.2週であった。
【方法】健肢及び患肢の周径(大腿上部、大腿下部、膝蓋骨直上、下腿最大部、足関節、足背の計6箇所)を計測し、入院時腫脹率から最大腫脹部位を求め、さらにその部位で退院時腫脹率及び浮腫減退率を求めた。治療効果の判定は減退率が30%未満を軽度改善、30から60%未満を中等度改善、60%以上を著明な改善とした。
【結果】最大腫脹部位は足関節58.3%、下腿最大部20.8%、膝蓋骨直上16.7%、大腿下部4.2%であった。入院時腫脹率は29.3±15.1%であったが、退院時には14.9±7.7%となり改善を認めた。浮腫減退率は49.5±21.4%で、治療効果判定では3例が軽度改善、15例が中等度改善、6例が著明な改善であった。また治療期間中に悪化例や蜂窩織炎などの合併症は認められなかった。
【考察】リンパ浮腫は手術などによる深部リンパ管の輸送障害に起因して起こる続発性が多い。合併症である蜂窩織炎が起これば安静臥床を余儀なくされ、浮腫が悪化することが多く、ADLやQOLの低下につながる。現状では受診しようにも専門科がわかりにくく、また治療に必要な弾性包帯などを含む医療費が自己負担であることから、精神的苦痛の訴えも多い。今回、最大腫脹部位は足関節と下腿最大部で約8割を占めたが、これは長期間重力の影響を受けてきた結果リンパが末梢に貯留し、蜂窩織炎などの感染が起こりやすくなっている状態と考えられる。治療することで患肢が軟らかくなる、重量感が軽減する、外観が良くなるなどの改善がみられるようになり、それが蜂窩織炎の予防や精神的苦痛の緩和にもつながる。今回の結果から、悪化例や蜂窩織炎併発例はなく全例が改善傾向を示したことから、CPTは今まで治療しながらも浮腫が悪化していくことに不安を感じてきた患者にとって身体的にも精神的にも有効であると考えられる。今後、より多くの患者に対する浮腫改善、精神的苦痛や経済的負担の軽減のためにCPTの普及が期待される。
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© 2005 日本理学療法士協会
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